1995 Fiscal Year Annual Research Report
動的脳電図法による棘波成分の発作発現性に関する研究
Project/Area Number |
07807076
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉永 治美 岡山大学, 医学部・附属病院, 講師 (00230780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水川 美智子 岡山大学, 医学部・附属病院, 医員
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Keywords | 動的脳電図 / てんかん / ローランド棘波 / トポグラフィー / 熱性痙攣 |
Research Abstract |
多数の外来または入院患者について詳細な臨床的分析を行ない、以下の対象を選択した。研究対象は年齢関連性に小児期に発症し予後良好な中心側頭部に棘波を有する良性小児てんかん(BCECS)の患児をてんかん群とし、これと同じ部位に同様の棘波すなわちローランド棘波を示しながら一度も発作の既往のない患児すなわち潜在性てんかんの患児を非てんかん群としてこの両群を比較検討した。また少数回の熱性痙攣後に、長期間ローランド棘波を呈している患児を中間群として検討した。 これらの3群の、覚醒状態から睡眠にいたる脳波をデータ・レコーダに記録紙、これを再生しながら、前後にアーチファクトを含まない棘波を8〜12個選択加算し、この加算された棘波を検討の対象とした。 次いで動的脳電図法を用いて棘波の起始部から主要な陰性頂点、陽性頂点、更に棘波に伴う徐波までを含む部分を分割し、それぞれのポイントでの脳表の電位分布をトポグラフィー表示し継時的変化についてタイプ分けした。その結果、てんかん群では電位分布の陰性極と陽性極の反転が継時的に観察されるのに対し、非てんかん群ではこの電位分布の変化が見られず、てんかん群と非てんかん群では、動的脳電図のパターンが異なった。さらに中間群は非てんかん群と同様のトポグラフィーのパターンが多いように見られた。 棘波の微細な形態的特徴がてんかん原性の強さをあらわすのではないかという推測は、上記の結果より、動的脳電図による棘波の形態分析所見から客観的に区分し得るようである。しかし未だ症例数が少なく、結果に有意差を認めるに至っていない。また、この推測が正しいとすれば、年齢に伴うてんかん原性の変化も、経年的脳電磁図の変容によって明らかにされる可能性が考えられる。この点に関し当初の研究計画に加えたいと考える。
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