1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07807079
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
照井 正 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (30172109)
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Keywords | 乾癬 / 表皮細胞 / 補体 / C3 / IFNγ / TNFα / 刺激伝達経路 |
Research Abstract |
本研究の対象となる乾癬は遺伝と環境因子が主たる要因となって発症する、免疫遺伝的病の一つとして考えられるようになってきたが、その発症機序の詳細はいまだに明らかにされていない。この疾患はT細胞の表皮内浸潤とともに表皮が増殖し、炎症の強い部位では好中球が角層下へ集積し、典型的な病変を形成する。しかし、初期病変は湿疹反応と鑑別できず、乾癬病変がどのようにして表皮増殖と好中球集積を伴って進展して行くのか、病理組織学的な検索だけでは明らかにするのは困難であり、病因解明には今までと異なる着想が必要である。私はこれまで乾癬およびその類縁疾患に特徴的な無菌性膿疱がどのようにして形成され、どのような生物学的意義を持つのか補体の活性化を中心として明らかにしてきた。つまり、表皮角層細胞は補体の傍経路を活性化して、好中球遊走活性を有するC5aの産生を促進すること、また、補体を活性化した角層はiC3bで覆われ、CR3を介して好中球と接着し、接着好中球は活性酸素を放出し、病変形成に関与することを明らかにした。今回の研究の結果、種々のサイトカインの中でIFNγとTNFαを培養表皮細胞に加えると補体の活性化に中心的な役割を果たすC3の産生が著しく増強されることが分かった。また、IFNγとTNFαはC3の産生を相乗的に増強することが分かった。C3産生にいたるsignal transductional pathwayを解析するため、各種PKCおよびPTKのagonistとantagonistを使用して検討した結果、IFNγとTNFαによるC3産生は異なるsignal transductional pathwayを介することが分かった。補体は単に外来および体の成分の異物を排除するのに役立つばかりでなく、補体の活性化が細胞性免疫の促進することが示されている。これらの事実から補体の活性化の異常が乾癬の病態や病因に関与していることが示唆された。
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