1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07807087
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
加藤 博敏 放射線医学総合研究所, 重粒子治療センター・治療診断部, 研究員 (80250116)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兵藤 一行 高速エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助手 (60201729)
安藤 興一 放射線医学総合研究所, 第3研究グループ, 研究員 (00159526)
遠藤 真広 放射線医学総合研究所, 重粒子治療センター・治療システム開発室, 研究員 (40160402)
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Keywords | 放射光 / 単色X線 / 放射線吸収係数 / 癌 |
Research Abstract |
[目的]新鮮標本の癌組織と非癌部組織で、放射光から得た単色X線の吸収係数を測定する。[対象および方法]進行肝細胞癌の手術摘出新鮮標本を用いて、放射光から発生させた20、25、30KeV単色X線の吸収係数を測定した。装置は前回と同じ測定系を用いた。標本はビニール袋に入れ厚さ5mmのアクリル板に挟んでガムテープにて固定した。各エネルギーの単色X線に対し、標本の癌部と非癌部につき、前回の実験後に開発した自動移動装置を用いて試料台を5mmずつ移動し、一方から他の一方に向かって15〜25箇所のX線吸収測定を行なった。標本の厚さは、癌部24mm、非癌部20mm、ビームサイズは1.0×2.0mmであった。吸収係数は次の式に従って求めた。μ=-1/x・1n(I/I_0)、μ:吸収係数、x:試料の厚さ、I_0:入射光子密度、I:出射光子密度。(結果)癌部、非癌部(肝硬変)の単色X線吸収係数(cm^<-1>)は、20、25、30KeVのエネルギーに対して、それぞれ2.630±0.008と2.913±0.024、1.813±0.011と2.330±0.013、1.825±0.006と2.224±0.007であった。分散分析の結果、癌部と非癌部の組織の違い、エネルギーの違い、により有意差が認められた(P<0.0001)。また、エネルギーの変化に伴う吸収係数の変化に関して、癌部と非癌部で違いがあった(P<0.0001)。今回の実験では、25KeVにおいて癌部と非癌部の吸収係数の差が最も大きかった。(考察)今回用いたエネルギーでは、腹部撮影時の被曝が大きく、また十分なコントラストを得ることは困難と考えられる。しかしながら、30KeVまで有意に吸収係数の差が認められたことから、今後、40、50KeV以上のより実用的なエネルギーによる研究の必要性と意義を確認できた。
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