1996 Fiscal Year Annual Research Report
血液細胞の情報伝達機構における新規チロシン脱リン酸化酵素の機能の解析
Project/Area Number |
07807103
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Research Institution | UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
本田 浩章 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (40245064)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
間野 博行 自治医科大学, 医学部, 助教授 (90240704)
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Keywords | チロシンフォスファターゼ / PCR |
Research Abstract |
我々は、増殖因子(IL-3またはGM-CSF)依存性ヒト白血病細胞株F-36Pから新規チロシン脱リン酸化酵素(PTPase)cDNAを単離しこれをHPTPη(Human Protein-Tyrosine Phosphataseη)と命名した。HPTPηは膜貫通型のPTPaseであり、細胞内に1つのPTPaseドメインを持ち、細胞外領域は10個のファイブロネクチン(FN)類似の繰り返し配列を持つ事が判明し、いわゆるtypeIIIと呼ばれるPTPaseに属することが判明した。血液細胞から単離されたPTPaseは我々のHPTPηが初めてであると思われる。HPTPηは2種類のヒト増殖因子依存性白血病細胞株(F-36P、F-36E)で高い発現を認めた。この結果は、HPTPηがサイトカインによる情報伝達に関与している可能性を示唆する。この可能性を検討するために、F-36P、F-36Eを増殖因子刺激前後で抗HPTPη抗体を用いて免疫沈降し、共沈してくるタンパクを抗リン酸化チロシン抗体を用いてタンパクのチロシンリン酸化の変化の面からも解析を行ったが、有意な変化は認められなかった。また、チロシンフォスファターゼはチロシンキナーゼによりリン酸化されたチロシン残基を脱リン酸化するところから、近年癌抑制遺伝子としての役割が期待されている。興味深い事に、HPTPηの遺伝子座位はFISH法により、癌細胞でしばしば欠失が認められるヒト染色体の11番短腕上11p11.2であることが判明した。そこで、各種癌臨床検体および細胞株で、HPTPη遺伝子の再構成をサザンブロットにより検討を行ったが、現在までに再構成の認められた臨床検体および細胞株は認められなかった今後更に症例数を増やして検討を重ねていく予定である。
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