1995 Fiscal Year Annual Research Report
アロ抗原ペプチド胸腺内注入による免疫寛容誘導の検討
Project/Area Number |
07807109
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安藤 裕一 東京大学, 医科学研究所, 教務職員 (00262080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝口 雅文 東京大学, 医科学研究所, 助手 (00183450)
別宮 好文 東京大学, 医科学研究所, 助手 (70199454)
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Keywords | 合成ペプチド / MHCクラスI抗原 / トランスジェニックマウス / 胸腺内投与 / 心移植 |
Research Abstract |
移植の理想的な免疫抑制法はドナー特異的な寛容状態をつくることである。ドナー特異的な寛容を導入する方法として、胸腺内に抗原を注入する方法があるが、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスI抗原ペプチドによる寛容についてはまだ報告されていない。そこで我々は、ヒトMHCクラスI抗原であるHLA・B51を移入したトランスジェニックマウス(HLA・B51TGM)、HLA・B35を移入したトランスジェニックマウス(HLA・B35TGM)および、HLA・B35のアミノ酸置換の多い領域の合成ペプチドを用い、ヒトMHCクラスI抗原ペプチドの胸腺内注入による特異的な寛容の誘導についてマウスの心移植で検討を行うことを目的とし、以下の実験を行った。1)皮膚移植:HLA・B35TGMの皮膚をHLA・B51TGMに移植すると平均12.6日で拒絶された。この皮膚移植後のHLA・B51TGMの脾細胞より、HLA・B35TGMにたいするCTLの誘導が確認された。2)胸腺内ペプチドの投与の心移植に与える効果:HLA・B35分子のアミノ酸置換のみられる部分より選択された、約20アミノ酸残基より構成される6種類のペプチドを合成した。HLA・B35TGMの心をHLA・B51TGMに移植すると平均22.8日で拒絶され、組織学的には強い細胞浸潤を認めた。一方、心移植48時間前にHLA・B35分子由来の上記合成ペプチドを胸腺内に投与を受けた群は、平均86日以上の生着を認めた。移植した心が60日以上生着したHLA・B51TGMにHLA・B35TGMの皮膚移植を行ったが、平均11.5日で拒絶され、免疫寛容の状態ではないことが示された。 以上の結果より、HLA・B51TGMはHLA・B35TGMの皮膚、および心を細胞性免疫反応を主体として拒絶することが示された。またドナー抗原となるであるHLA・B35分子由来の合成ペプチドの胸腺内投与が、HLA・B35TGMの心移植の生着延長に効果があることが示された。
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