1995 Fiscal Year Annual Research Report
意識障害・痴呆等の反応性低下患者の眼球運動量の客観的定量的評価法
Project/Area Number |
07807129
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | 山梨医科大学 |
Principal Investigator |
永関 慶重 山梨医科大学, 医学部, 助教授 (80172534)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀越 徹 山梨医科大学, 医学部, 助手 (50209300)
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Keywords | 意識障害 / 眼電位図 / 眼球運動 / 周波数解析 |
Research Abstract |
脳神経外科領域では意識障害,痴呆例,無欲状顔貌などの表情に乏しくかつ眼球運動(目の動き)に乏しい患者に接する機会が極めて多い.これらは直感的に判断が可能であるが,眼球運動の客観的・定量的評価法を確立すべく以下の臨床検査を行った.随意的眼球運動には急速相としてsaccadeと緩徐相としてpursuitの2つがある.急速相と緩徐相について眼球運動を従来の種々のtaskによる眼球運動誘発法無しで静的状態にて記録した.VTR camera2台(1台購入),AV mixerおよびVTR deck各1台(購入)と現有のNeuropak 4を用いて眼電位図のフーリエ解析{compressed spectoral array(CSA)}による周波数解析を行った.2台のVTR cameraの信号をAV mixerを介して現有のテレビモニター上段に両眼の眼球映像を下段に眼電位図(CSA)を同時映像してVTR deckに記録した。これによりリアルタイムの眼球運動と眼電位図の両者の同時比較が可能になりデータ解析を行う際に眼球の動きと反応波との関係を詳細に検討できた。意識障害患者(JCS:3段階)11例,植物状態患者8例,対照として眼球運動に制限のない意識清明患者8例に各々上記の検査を施行した.脳死患者のCSAでは完全平坦波,JCSIIIでは1Hz以内に低振幅多層性波,JCSIIでは2Hz以内に中振幅多層性波を,JCSIでは0-3Hzの間に中振幅多層性波を,意識清明患者では0-4Hzの間で,高振幅多層性波が記録された.これらは各段階において眼振を伴う症例を除いていずれもその反応波は一定していた.また意識清明患者にメトロノ-ムの先端に20cmのストローを置き,先端を注視点として60Hz,120Hz,150Hzで各々追視させるとCSAの1Hz,2Hz,2.5Hzにおいて完全な1峰性の高振幅波が得られ他の周波数域においては完全平坦波であった.こうした眼球運動量の変化や反応パターンにより,CSAの2Hzを境にして意識清明患者およびJCSIで他群と比較して眼球運動に差が見られ,注意力の有無あるいは急速相と緩徐相との鑑別が可能であることが示唆された.
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