1995 Fiscal Year Annual Research Report
先天性水頭症は神経分化の遅延による脳皮質菲薄化が先行するという仮設の検証
Project/Area Number |
07807130
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
坂本 貴志 高知医科大学, 医学部, 助手 (90243823)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
美馬 達夫 高知医科大学, 医学部, 助手 (30192363)
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Keywords | 水頭症 / 神経分化 / 神経栄養因子 / 繊維芽細胞増殖因子 / ラット / 神経成長因子 |
Research Abstract |
先天性水頭症HTXラットを、後期(18日目)、生後6日目の2つの段階に分け、神経分化マーカーであるHu抗体を用いて、免疫組織染色を行ない、またゴルジ染色で神経突起の形成とそのネットワークに異常が生じていないかを検討した。Hu抗体による検索では、大脳皮質の表面に近い3分の2の層が神経分化を示していたが、予想に反して、コントロールのWistarラットと比べてみても、神経分化を示す層の幅に明らかな違いは認められなかった。ゴルジ染色では、HTXラットの方が、とくに胎生18日目のHTXラットにおいて、basal dendriteおよびapical dendriteの数の減少が軽度認められ、神経細胞として分化はしているが、軽度の機能障害が生じている可能性が示唆された。 神経栄養因子のうち、nerve growth factor (NGF)、fibroblast growth factor (FGF)、brain-derived neurotrophic factor (BDNF)、neurotrophin 3(NT-3)の抗体を使った免疫組織染色では、先天性水頭症HTXラットはコントロールのWistarラットに比べ、胎生18日の時点での検討では、NGFが強く染色され、NT-3が弱く染色されるという所見が認められ、これらの因子の変化は、未分化な細胞が神経細胞に分化していく過程で障害を来していることとの関連性が示唆された。現在、胎生期のもっと早い時点および生後6日目という後期で検討を進めている。 ベータガラクトシダーゼを組み込んだリコンビナント・レトロウイルスを用い、神経管の細胞に感染させ、HTXラットでは、1個の神経幹細胞がどう分裂して分化するかをみる細胞系譜の研究に関しては、ほとんど進展していない。ウイルスを子宮内胎児の脳室内に微量注入することを、胎生18日から20日で試してきたが、手術の侵襲のため死亡する胎児が多く、またウイルスによる脳への感染率が極めて悪く、細胞系譜の解析に必要な感染コロニーが得られていない状況である。
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