1996 Fiscal Year Annual Research Report
先天性水頭症は神経分化の遅延による脳皮質菲薄化が先行するという仮説の検証
Project/Area Number |
07807130
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
坂本 貴志 高知医科大学, 医学部, 助手 (90243823)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
美馬 達夫 高知医科大学, 医学部, 助手 (30192363)
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Keywords | 水頭症 / 神経分化 / 神経栄養因子 / nerve growth factor / neurotrophin3 / brain-derived neurotrophic factor / ラット |
Research Abstract |
先天性水頭症HTXラットを、生後3日目、6日目にて、免疫組織染色を行ない、神経栄養因子のnerve growth factor(NGF)、brain-derived neurotrophic factor(BDNF)、neurotrophin3(NT-3)、および受容体のtrkBの局在と発現を解析した。対照としてはWistarラットを使用した。大脳皮質:NGFはこの時期では発現量が少なくほとんど染色されず、両群に差は認められなかった。BDNFは、対照ラットでは大脳皮質全体の細胞で染まるが、HTXラットでは第2、3層に限局して染まり、しかも濃く染まる細胞と薄く染まる細胞が混在していた。NT-3は、対照ラットの生後のこの時期では細胞質全体が染まるが、HTXラットでは核に局在し濃染していた。この所見は対照ラットでの発生早期に見られ、この点からHTXラットでは神経分化が遅れている可能性が示唆された。trkBの発現は、HTXラットでは対照に比べ少なかった。海馬:NGFには両群に差が認められなかった。BDNFは両群ともstratum radiatumおよびoriens layerに発現するが、対照ラットでは発生にしたがい染まりが薄くなるのに対し、HTXラットでは生後6日目でも濃いことから、この点からもHTXラットでの発生の遅延が示唆された。NT-3は、oriens layerに発現し、両群で差がなかった。なお、pyramidallayerでは、NGF、BDNF、NT-3の3つの神経栄養因子は全て発現に差がなかった。以上の結果の幾つかは、先天性水頭症HTXラットでは神経発生が遅延している可能性を強く示唆し、現在RT-PCRによる定量的な解析を行っている。
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