1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07807143
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
小野 浩史 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (30260813)
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Keywords | 保存 / 血管コンプライアンス / 体外循環 / 酸素消費量 / RNA |
Research Abstract |
切断肢の保存状態を評価しその切断肢が再接着可能かどうかを判定するために、体外循環潅流装置による各切断肢の血管コンプライアンスおよび組織酸素消費量の測定を行った。我々の開発した体外循環潅流装置は、同系ラットの新鮮な血液で切断肢の組織潅流が行われ、生理的に安定した血行動態が得られるシステムである。循環回路への血液供給源には別の同系ラットを用い、全身痲酔下に人工呼吸器にて呼吸を管理し、動静脈圧をモニターしつつ、大腿動脈と頚静脈に体外循環回路を接続する。本回路は、平成7年度の実験によりその手技が確立でき、また、平成8年度には対照群である新鮮切断肢に関して、その血管コンプライアンス、組織酸素消費量の測定を終えた。本年度は低温にて24時間保存した切断肢群を作製した。切断肢を体外循環装置に接続し、潅流血液量を可変量ポンプで増減し切断肢の動脈圧を連続的に測定、切断肢の重量変化も同時に計測し、これらの数値をパ一ソナルコンピューターに入力し直ちに血管のコンプライアンスおよびそれらの組織の酸素消費量を測定し組織代謝率を計算、保存肢が生着可能か否かを判定した。低温保存の温度を4°Cと-1°Cの2群を作成し、上記項目について比較検討した結果、血管コンプライアンスについては4°C保存の方が-1°C保存よりも優れていたが、組織代謝については逆の結果となった。また、切断肢の保存後と再灌流時の各組織(皮膚、骨、筋肉)を採取し、組織学的および遺伝子学的検索も行った。遺伝子学的検索として、各組織のmRNAの定量により組織破壊の程度を評価した。その結果、室温保存では筋肉は3時間保存でもすでに変性が始まりこの変化は再還流によって可逆的であったが、6時間保存ではこの変生は再還流後も不可逆的であった。
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[Publications] Hiroshi Ono: "Vascular Compliance and Vasoconstructive reactions in rat hindlimbs:comparison between storage temperatures of -1°C and 4°C" Journal of Reconstructive Microsurgery. 13・6. 409-414 (1997)
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[Publications] 小野浩史: "切断肢指再接着後の患肢保温の重要性:第1報,血液粘稠度の影響" 日本手の外科学会雑誌. 13・3. 592-595 (1996)
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[Publications] 中河庸治 他: "切断肢指再接着後の患肢保温の重要性:第2報,血液コンプライアンスについて" 日本手の外科学会雑誌. 13・3. 610-613 (1996)
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[Publications] 中河庸治 他: "切断肢指再接着後の患肢保温の重要性:第3報,組織酸素消費量について" 日本手の外科学会雑誌. 14・3. 559-562 (1997)
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[Publications] 小野浩史: "遺伝子解析からみた骨のViability-骨の阻血性変化の指標としてのmRNAの分解" 日本手の外科学会雑誌. 14・6. (1997)