1995 Fiscal Year Annual Research Report
神経芽腫群腫瘍におけるアポトーシスの発現とその意義について
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07807164
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
中田 幸之介 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (70081734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小泉 宏隆 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (10215155)
高桑 俊文 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (90121201)
脇坂 宗親 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (30267596)
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Keywords | 神経芽腫群腫瘍 / Apoptosis / bcl-2 |
Research Abstract |
本年度の研究目的である、小児がんとくに神経芽腫群腫瘍におけるApoptosis発現の検証と、発現に関与すると考えれれる腫瘍遺伝子の検索を行い以下の結論を得た。 1)神経芽腫と診断された手術摘出35腫瘍組織の光顕的観察を行った結果、多くの組織中にkaryorrhexesと表現されているApoptosisとして矛盾しない細胞濃縮あるいは萎縮、崩壊像を認めた。この形態学的特徴は、ことにマス・スクリーニングで発見された予後良好群の腫瘍組織中に多発していた。 さらに電顕像では核の断片化を伴った萎縮、濃縮細胞の存在を認め、Apoptosisの発現を裏付ける結果を得た。 2)karyorrhexes形態を認めた腫瘍組織について、Nick end labelling法を施行し腫瘍内DNA fragmentationの存在を検索したところ、神経芽腫組織の74%に染色陽性細胞の出現を認め、Apoptosis発現細胞の存在を確認した。 また、凍結組織標本の得られた7腫瘍組織を用いてagarose gel electrophoresisを行ったところ、神経芽腫腫瘍の60%にapoptosisで見られるDNA fragmentationの特徴的所見を観察できた。 3)Apoptosisに抑制的に作用するとされるbcl-2の腫瘍内発現性を免疫組織学的に検索したところ、進行神経芽腫腫瘍組織に高い発現率を認めた。 以上の結果、神経芽腫群腫瘍におけるApoptosisの発現はかなり高頻度に認められることが判明し、これらの現象が、乳児の神経芽腫に時に見られる腫瘍の自然褪縮に強く拘わるものと考えらた。 これらのことを踏まえ、次年度より神経芽腫腫瘍組織中のApoptosis関連遺伝子の検索をさらに進めることと、実験的Apoptosis誘発の可能性について検討を加えることとした。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] H. Koizumi, M. Wakisaka, K. Nakada, et al.: "Demonstration of apoptosis in neuroblastoma and its relationship to tumor regression." Virchow Archives. 427. 167-173 (1995)
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[Publications] 中田幸之介、藤岡照裕、脇坂宗親: "乳児神経芽腫の治療上の問題点" 小児外科. 27. 485-491 (1995)
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[Publications] 北川博昭、江並朝猛、中田幸之介: "グループスタデイによる小児肝癌治療法確立に関する研究 稀な転移性肝腫瘍の治療経験" 平成5、6年度文部省科研費助成研究報告書, 272 (1995)