1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07807183
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Research Institution | TOKYO MEDICAL AND DENTAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
鎌田 伸之 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (70242211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立川 敬子 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (70236537)
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Keywords | 口腔粘膜疾患 / 遺伝子治療 / アデノウィルスベクター / サイトカイン / アンチセンスDNA |
Research Abstract |
口腔粘膜疾患の多くは難治性で経過が長く、原因の明らかでないものが多い。これらの病態の発症機構の解明と、治療法の確立を目指して、疾患局所における遺伝子導入によるサイトカインの発現、あるいはアンチセンス遺伝子導入による発現の抑制のための基礎的研究を行なった。in vitroにおいては、口腔扁平上皮癌細胞に、RSV-LTRを配置したβ-galactosidaseおよびCAT遺伝子の発現プラスミドを脂質二重膜法によって導入し、酵素活性測定による遺伝子産物の発現を確認した。しかし、免疫染色法では、ディッシュ上の全細胞中の2〜5%程度でしか発現していなかった。これは、プラスミド系での導入効率の低さに起因するものであると思われた。そこで、LacZ遺伝子を組み込んだアデノウィルスベクターの感染実験を行なったところ、100%の細胞でのLacZの発現が確認できた。 また、TPA、IFN-β、TNF-γの刺激による、扁平上皮癌細胞におけるI-CAM1の誘導を、抗ヒトI-CAM1抗体を用いて確認した。この発現はヒトI-CAM1遺伝子に対する20merのアンチセンスDNAを処理することで抑制されることを明らかにした。しかし、マウス舌による実験では抑制効果は十分には認められなかった。これはヌードマウス舌に脂質二重膜とともに粘膜下注射したβ-galactosidaseおよびCAT遺伝子の発現が低いことと同様であった。そこで、扁平上皮癌細胞をヌードマウスに移植した腫瘍に、アデノウィルスLacZ遺伝子ベクターの注射実験をおこなったところ、局所におけるLacZ蛋白の発現が確認できた。さらに、この系を用いて、表皮で発現するPKCηを口腔扁平上皮癌細胞で過剰発現させ、TPA処理をおこなうことによる増殖抑制作用を見出した。扁平上皮癌を含む口腔粘膜疾患の新しい知見が得られた。
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Research Products
(1 results)