1995 Fiscal Year Annual Research Report
精密化学的設計に基づいた求電子的不斉フッ素化試薬の開発
Project/Area Number |
07807193
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
竹内 義雄 富山医科薬科大学, 薬学部, 助教授 (20111750)
|
Keywords | 不斉フッ素化 / 求電子的フッ素化 / ベンズイソチアゾリジン / N-フルオロスルホンアミド / フッ化過クロリル |
Research Abstract |
1.(S)-バリンおよび(S)-フェニルグリシンのカルボキシル基部分を還元後ホスゲン環化することにより,また,(R)-システインエチルエステルをホスゲン環化して,対応する光学活性4-置換2-オキサゾリジノンおよび2-チアゾリジノンを得た.フッ素ガスおよびフッ化過クロリルを用いてこれらのN-フッ素化を試みたところ,後二者の場合は安定性に問題があるため単離できなかったが,前者の場合は光学活性のN-F体を得た.このフッ素化体を,NaH処理のエチル2-オキソシクロペンタンカルボキシレオートに反応させたところ,目的のC-フッ素化体が生成したもののその不斉収率は約10%と低いものであった.次に,不斉誘起能を高めるため環状構造物を標的とし,その簡易合成を検討した. 2.サッカリンに二種のアルキル金属を作用させて,異なるアルキル基が3位に導入された2,3-ジヒドロベンゾ[1,2-d]イソチアゾール 1,1-ジオキシド類を合成し,これらにフッ素化を施して対応するN-F体を得た.次にラセミのN-H体を10-(+)-塩化カンファースルホニルと縮合してジアステレオマ-とし,二種の異性体を分離後それぞれを加水分解する方法による,N-H体の光学分割を試みた.アルキル基がメチルとi-プロピルの組み合わせの場合は分割に成功したが,メチルとt-ブチルの場合は立体障害のためか,ジアステレオマ-への誘導が進行しなかった.前者の光学活性N-H体に関しては,ラセミ体の場合と同様のフッ素化反応に付すことで,(3R)-および(3S)-体の2-フルオロ-3メチル-3-イソプロピル-2,3-ジヒドロベンゾ[1,2-d]イソチアゾール 1,1-ジオキシド(1)を得た. 3.上述の光学活性フッ素化剤を用いて幾つかの活性メチレン化合物のフッ素化を試みたところ,最も良い結果としては,2-メチル-1-テトラロンに対してLHMDS/THF/-40℃の条件下で新試薬(3S)-1を作用させた場合に,化学収率42%,不斉収率74%で対応する(2R)-フルオロ体を得た.
|