1995 Fiscal Year Annual Research Report
地域問題解決のための合意形成実験とその評価に関する試験的研究-ゲーシング実験による学習理論的分析を基礎として-
Project/Area Number |
07808048
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
木谷 忍 東北大学, 農学部, 助教授 (20169866)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兼田 敏之 愛知県立大学, 文学部, 助教授 (10192543)
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Keywords | 社会的決定 / 合意形成 / 社会的公正 / 分配的公正 / 学習モデル |
Research Abstract |
本年度の目的は地域問題解決に向けての合意形成モデルとその評価枠組みの構築である。価値意識が多様な社会では、合意形成の条件に社会的公正の視点が重要なカギを握ることが明らかになったため、合意形成の評価を経験主義者的な発想に帰するのではなく、地域社会の創造的学習の結果として捉えるという立場をとる。今年度の研究成果を整理すると、以下の通りである。 (1)社会的問題解決に社会的公正という視点を加えることによって、短期的に「真」の問題解決が得られる可能性が期待できること。 (2)拡張学習システムを社会的合意形成に用いる場合、拡張の意味は社会的公正に根差した代替案の発見として概念的に考えることが可能で、従来の信念修正の学習モデル(例えばベイズ学習)は社会的効率の向上に適合すること。 (3)合意形成モデルは、学習モデルとして発見的学習および信念学習から構築し、その評価として分配的公正の手続き的解釈の論理を用いて構築したこと。 捕捉すれば、人間社会は長い歴史を通してその制度が作られるのであって決して恣意的なものではないという経験主義的な立場をとると、本研究は恣意的に合意を形成させるということになって、長期的な問題解決には至らないという意味で意義が薄れてしまうが、社会的問題解決に社会的公正という視点を加えると、この概念自体が経験主義的に得られたものだと考えられるから、たとえ分配的公正にもとづく恣意的な合意形成を試みたとしても、「真」の問題解決が得られる可能性は期待できる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 木谷忍、兼田敏之: "合意形成過程での意思決定モデルの合成と公正な社会的決定について" 日本行動計量学会23回大会発表抄録集. 192-195 (1995)
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[Publications] 木谷忍: "社会的公正からみた社会的決定モデルに関する研究" 日本計画行政学会第18回全国大会研究報告要旨. 49-50 (1995)
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[Publications] 木谷忍: "生産性の罰の配分モデルにおける公正な社会契約に関する研究" 日本OR学会1995年度秋期研究発表会アブストラクト集. 220-221 (1995)
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[Publications] 兼田敏之、木谷忍、鐘ケ江秀彦: "モデル参照型意思決定問題を用いた階層組織問題の研究" OR学会中央支部第23回研究発表会アブストラクト集. 1-6 (1996)
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[Publications] 兼田敏之、木谷忍: "複合主体系(Poly-Agent System)の形式化の試み" 第21回数理社会学会大会. (発表予定). (1996)
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[Publications] 木谷忍: "社会的決定における公平性概念とその理論的考察" 農業経済研究報告. 29(発表予定). (1996)