1995 Fiscal Year Annual Research Report
生物間相互作用により地球環境の健全性を担う生物群の機能保存に関する研究
Project/Area Number |
07808062
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平田 收正 大阪大学, 薬学部, 助教授 (30199062)
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Keywords | 凍結保存 / 固定化乾燥法 / 共生体 / 生物間相互作用 / 高等植物 / 微細藻類 |
Research Abstract |
1.まず、西洋ワサビ毛状根から誘導したシュート原基および微細藻類であるDunaliella tertiolectaを材料として、生物間相互作用を基盤に成り立つ生物群の凍結保存に有利と考えられる固定化乾燥法を用いた凍結保存を行った。凍結保存の成否に大きく関わる乾燥条件について最適化を行った結果、どちらの材料においても0.5Mショ糖を添加したアルギン酸カルシウムビーズに固定して、水分含量約25%まで約2日間かけてゆっくり乾燥させる方法によって、直接液体窒素に投入した場合でも高い生存率が得られることが明かとなった。また、これらの材料の生存率は液体窒素中で10ケ月間安定に維持され、さらにこの方法によって他の植物材料や藻株の凍結保存を試みたところ、ほとんどの材料で有意に高い生存率が得られた。従って固定化乾燥法は、長期間にわたって細胞活性の維持が可能で、また多くの種に適用可能な普遍性の高い凍結保存法と言え、複雑な生物間相互作用によって維持される生物群の保存にも有効であると考えられる。 2.次に、相互の二酸化炭素固定能と窒素固定能を基盤として淡水系において共利共生を営んでいるアカウキクサ(Azolla)とラン藻の共生体を材料として、固定化乾燥法による凍結保存を試みた。しかし、上記の乾燥過程で一部の活性が失われ、さらに凍結後には生存する共生体は全く確認されなかった。これは、乾燥過程でビーズ内部で濃縮されたショ糖が共生体に傷害を与えることが主な原因と考えられるため、今後はショ糖以外の毒性の少ない添加物の使用や乾燥速度の調節などによって、高い細胞活性を維持したまま乾燥および凍結が可能は方法の確立を試みる予定である。
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