1996 Fiscal Year Annual Research Report
重金属膜輸送遺伝子とキナーゼ遺伝子の共クローニングによる重金属とリン除去の研究
Project/Area Number |
07808063
|
Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
遠藤 銀朗 東北学院大学, 工学部, 教授 (80194033)
|
Keywords | 重金属除去 / 水銀膜輸送遺伝子 / ポリリン酸キナーゼ遺伝子 / 共クローニング / 遺伝子工学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、一般に細菌がポリリン酸を蓄積するにあたってリン酸イオンの膜輸送とポリリン酸の合成の際にリン酸とMg^<2+>およびCa^<2+>のような2価の陽イオンとが結合して安定化することに注目し、同じ2価の陽イオンであるHg^<2+>,Cd^<2+>,Cu^<2+>等の重金属をポリリン酸に結合することによって不溶化して重金属による細胞毒性の緩和とそれによる高度蓄積の可能性を引出し、リン酸と重金属イオンとの同時除去の技術開発の可能性を探索することである。 本研究によって得られた実績の概要は以下の通りである。水銀イオンの細胞膜輸送に関与する遺伝子群とリン酸膜輸送およびポリリン酸合成に関与する遺伝子群を同一の大腸菌細胞にクローニングし(以下これを共クローニングと呼ぶ)、それによる水銀イオンとポリリン酸との結合顆粒を細胞内に形成させることによる水銀とリンとの同時除去の可能性を評価するための研究を行なった結果次のような研究成果を得た。 (1)毒性重金属の代表として無機水銀(Hg^<2+>)およびメチル水銀(CH_3Hg^+)を選び、これらを細胞内に特異的に能動輸送する遺伝子群をPsedomonasu属細菌のプラスミドから発現ベクタープラスミドを用いて大腸菌にクローニングし、同時にこれらの水銀化合物の無毒化遺伝子群を欠損させることによって水銀化合物に対するハイパーセンシティブな大腸菌を分子育種した。 (2)大腸菌のリン酸細胞輸送系遺伝子群およびKlebshira属細菌のポリリン酸合成遺伝子を大腸菌用発現ベクターに組み入れ、さらにそれを3種類の大腸菌宿主に形質転換することによって高度ポリリン酸蓄積大腸菌を得た。 (3)共クローニング細菌株による水銀の高度細胞内蓄積がポリリン酸と水銀イオンとの結合によって達成可能であることを確認できた。
|
-
[Publications] Ginro Endo and Simon Silver: "Cad C,the Transcriptional Regulatory Protein of the Cadmium Resistance System of Staphylococcus aureus Plasmid pI258." Journal of Bacteriology. Vol.177,No.15. 4437-4441 (1995)