1995 Fiscal Year Annual Research Report
シンクロトロン放射光を利用したX線溶液散乱法による高圧下の蛋白質の構造
Project/Area Number |
07808076
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
加藤 稔 立命館大学, 理工学部・専講師 (00241258)
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Keywords | X線溶液錯乱 / 蛋白質 / 圧力効果 / 放射光 |
Research Abstract |
本研究課題は高圧下でのX線溶液散乱技術の開発とその蛋白質測定への応用の2つの目的がある.技術の開発では,フォトン・ファクトリーでの配分されるビーム・タイムが限られているため、本年度は圧力漏れの対策に重点を置いた。バックアップ・リングのデザインおよび材質改良により圧力漏れを格段に減少させた。またX線の波長可変実験を行い,散乱のS/N比を向上することができた.また蛋白質測定では,リゾチームを用いて,高圧下での測定性能の評価を行った。散乱のS/N比およびギニエプロットの直線性から,通常の常圧測定と遜色のない散乱データを得ることに成功した.さらに,測定性能の評価とともに,ミオグロビンの圧力変性実験を試みた。酸性条件下でミオグロビンの回転半径は1500気圧を境に17.5Åから22Åへ変化するのを確認した。高圧変性時の回転半径、22Åはすでに報告されている変性剤変性の値約30Åに比べきわめて小さく、モルテン・グローブル状態の値に近い。この高圧変性は吸収スペクトルからも確認できた.変性の可逆性等の問題はまだ完全には解決できていないが,今回世界で初めて圧力変性をX線散乱法で観測することに成功した。高圧下の変性状態の特徴を明らかにする上で他の変性状態との比較が必要である。詳細な解析は現在進行中であるが、今後の研究の進展は蛋白質の圧力変性機構の研究に非常に重要な寄与を果たすといえる。
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Research Products
(1 results)