1995 Fiscal Year Annual Research Report
成長円錐からシナプスへの機能分化に伴うアクティブゾーン分子構築の発達の解析…小胞融合関連分子と細胞接着分子の免疫組織化学的解析を中心として…
Project/Area Number |
07808086
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
溝口 明 京都大学, 医学研究科, 助教授 (90181916)
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Keywords | 成長円錐 / シナプス / アクティブゾーン / シナプス小胞 / 低分子量GTP結合蛋白質 / Rab3A / ニューレキシン / 細胞接着分子 |
Research Abstract |
本研究では、神経シナプスと成長円錐における小胞融合機構を比較解析し、神経伝達物質の放出機構と成長円錐の標的細胞への伸長機構との共通点と差異を明かにすることを目的としている。従来、我々を含めた多くの研究から、神経シナプスでは、シナプス小胞に存在する4種類の蛋白質、シナプトブレビン(VAMP)、シナプトタグミン、低分子量GTP結合蛋白質Rab3Aとその標的蛋白質Rabphilin・3Aが、前シナプス膜のアクティブゾーンに存在する3種類の蛋白質、シンタキシン、電位依存性Ca^<2+>チャネル、ニューレキシンが複合体を形成しており、これが1サイクル0.2ミリ秒以内という超高速度開口分泌を可能としている小胞融合装置であることが判明している。 そこで本年度は、神経シナプスにおける小胞融合装置を構成する蛋白質の成長円錐における局在を、共焦点レーザー顕微鏡および定量的免疫電顕方を用いて解析した。その結果、1)シナプトブレビンは成長円錐の形成初期の段階から、成長円錐の基底部に集積していた。電顕では、シナプス小胞と類似した小型の小胞上に局在していた。このことはシナプトブレビンが神経細胞からの成長円錐の発芽に関与することを示唆した.2)Rabphilin-3Aは、成長円錐の基底部に顆粒状に存在したが、低分子量GTP結合蛋白質Rab3Aは、成長円錐の基底部から先端部にかけて存在し、しかも扇方の成長円錐では、しばしば左右どちらかに片寄って局在した。この所見は,完成したシナプスではシナプス小胞上に共存するRab3AとRabphilin-3Aが成長円錐では一部別々の局在を示し,特にRab3Aは成長円錐の進行方向の決定に関与することも示唆された.3)ニューレキシンは、成長円錐の基底部から先端部にかけて存在した。この所見によって、ニューレキシンが成長円錐で外環境に対する細胞接着分子として働く可能性が示された.以上のように、本年度は、成長円錐の小胞融合機構および伸長機構に関して計画した成果が得られた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Shibuya, Y., et al: "Localization of N-cadherin in the normal and regenerating nerve fibers of the chicken peripheral nervous system." Neuroscience. 67. 253-261 (1995)
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[Publications] Okajma, S., et al: "The distribution of protein kinase C(α,β,γ subtypes) in the regenerating growth cone." Neuroscience. 66. 645-654 (1995)
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[Publications] Uehara, K., et al: "Localization of synaptotagmin in the regenerating sprouts emanating from the nodes of Ranvier." Acta Histochem. Cytochem.28. 401-407 (1995)
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[Publications] 溝口明: "免疫実験操作法(13章B,C,D)" 南江堂, 1236 (1995)
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[Publications] 溝口明: "GTP総合蛋白質" 羊土社, 312 (1996)