1995 Fiscal Year Annual Research Report
成熟大脳皮質における神経繊維伸長のスライス培養法による解明
Project/Area Number |
07808090
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
山田 勝也 秋田大学, 医学部, 助手 (40241666)
|
Keywords | 大脳皮質 / スライス培養 / 成熟神経細胞 / 組織培養 / 酸素分圧 |
Research Abstract |
これまで成熟ラットの大脳を厚さ約150ミクロンに薄くスライスすることによって1週間にわたって一部の神経細胞を維持できることを確認した。そこで今回成熟脳組織培養に最適な酸素などのガス分圧、培地組成、ならびにスライスの作成条件を決定して培養技術として確立することを目標として研究をおこなった。評価基準としてはこれまで組織学的な方法のみを用いてきたが、これに電気生理学的な手法も取り入れてreal timeで神経細胞の状態を測定した。またこれまでは手作業で薄切していたものを無菌的にスライサ-を用いることにより厚みを厳密にコントロールした。切片調製については、従来の所見により残存する血球が組織の維持に何らかの悪影響を与えている可能性が考えられたので、心臓から蔗糖主体のリンガー液を無菌的に潅流して血球の影響を除いてから、切片を薄切した。また大きな脳組織の場合、切片全体にわたって均一な培養条件を維持することが難しいので、約2mm四方に小さくトリミングした後、薄切した。更に組織薄切によるダメ-ジからの回復を図る為に、培養に移す前に急性実験で用いるのと似たインキュベーション用のチェンバーに移し、無菌的に蔗糖リンガーを流した。その後細胞外記録による電気生理を行ない、十分組織が修復されていることを確認した上で培養に移した。更にまた90%酸素分圧下までの培養が可能なインキュベータ-を用い、従来の通常のCO2インキュベータ-を用いた結果と比較した。以上の実験の結果、成熟大脳皮質の組織培養を左右する最も重要な因子は培地組成にあることを強く示唆する結果が得られた。酸素インキュベータ-を用いた場合、若干の培養期間延長がみられるようであるが、基本的には大きな差異はなかった。そこで現在、長期間の培養に最適な培地組成について連続細胞外記録を行ないながら引続き評価検討中である。
|