1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07808097
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
松林 清明 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (50027497)
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Keywords | 動物福祉 / 索餌システム / 遊具 / 飼育サル類 / 同居条件 |
Research Abstract |
実験用サル類の動物福祉を実証的に検討する研究課題として、初年度は「索餌システム」、2年次は「遊具」の開発と評価を実施し、最終年度ではサル同士の「同居条件」を実験的に検討した。その結果、サル自身に餌を取る努力をさせる索餌システムおよび可動性の遊具は、毎日のサルの行動レパートリーを格段に豊富にし、動物福祉上極めて有効なことが分かった。しかしながら、それらの操作頻度は年齢と密接に関連し、若いサルほど活発であるのに対し、老齢のものでは適応性が低いことも明らかになり、対象年齢を考慮した選択が必要であることが示唆された。最終年度の同居選択実験では、以下のような成績が得られている。 1.一般的に自分より体格の小さい個体および弱小な性の個体には強い接近意欲を示し、成サルは若いサル、オスはメスを相手にした時に接近傾向が強い。 2.逆に自分より体格の大きい個体やオス個体との接近は避ける。 3.成オス同士、成メス同士または年齢の近い若いサル同士では、先ず検索行動が見られ、体格の近いオトナオスでは闘争に至るケースがしばしあった。成メス同士およびコザル同士では、早期に優劣順位が決まり、安定に至る場合が多いが、高順位個体は低順位個体の彩食を妨げる傾向がある。 これらの結果から、サル同士を同居させる場合は、1)異なった性・年齢の組み合わせおよびメス同士、コザル同士では安定的順位関係の成立が早いが、給餌の際は分離しなければ、低順位個体の採食が妨害される、2)オトナオスは、他個体との同居は避けた方がよい、ことがあきらかとなった。
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