1995 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子発現を指標とする生体の非特異的相互作用認識の解明
Project/Area Number |
07808100
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
岸田 晶夫 鹿児島大学, 工学部, 助教授 (60224929)
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Keywords | mRNA / ポリマー / PCR / IL-1β / 接触角 |
Research Abstract |
本研究では、材料と生体との相互作用を遺伝子レベルで理解することを目的として、材料に接着あるいは接触した細胞のメッセンジャーRNA(mRNA)の発現を評価した。細胞には機能性細胞のモデルとしてマクロファージ様細胞(HL-60)を用い、発現したmRNAを逆転写酵素を用いたポリメラーゼ連鎖反応法(RT-PCR法)を用いて増幅し、本法が本研究で目的とする細胞側の反応を評価できる手法であるかを検討した。mRNA発現の検討対象は、炎症性サイトカインであるインターロイキン1β(IL-1β)である。基材となる材料は、汎用の高分子材料として、組織培養用ポリスチレン、ポリエチレン、シリコーン、ナイロン、エチレン-ビニルアルコール共重合体、テフロン、セルロースの7種と、生体機能性材料として、表面改質高分子材料(親疎水性バランスおよび電荷バランスを変化させたもの)を用いた。 細胞培養、mRNA分離法、cDNAの作製、PCR反応のそれぞれについて条件を変化させて実験条件の最適化を行った。mRNAの発現量を半定量法を用いて評価した結果、親水性の高い材料上でIL-1βの発現が昴進しており、従来の細胞接着およびタンパク質吸着の結果から生体非刺激性と考えられていた材料において、接触した細胞は炎症性のシグナルを受容している可能性があることが初めて示された。また、臨床において埋植用に使用されている材料では炎症刺激は少なく、実際の臨床上の評価と直結した結果が得られた。 RT-PCR法を用いたmRNA発現評価法は簡便な新しい手法であり、プライマー配列を変化させることによって種々のタンパク質発現を評価できる。本法は材料の生体適合性評価の新しい手法として有用であると考えられる。
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