1995 Fiscal Year Annual Research Report
動脈平滑筋細胞の機能維持に関与する由皮由来サイトカインの同定
Project/Area Number |
07833013
|
Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
本間 好 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (60192324)
|
Keywords | 動脈硬化 / 細胞分化 / 血管内膜細胞 / サイトカイン / 細胞増殖 / アクチン |
Research Abstract |
正常な動脈においては、中膜平滑筋細胞の増殖は厳密に制御され増殖停止状態が維持されている。このような状態の平滑筋細胞は収縮型と呼ばれ、内膜へ遊走し増殖能を獲得した合成型細胞とは区別される。本研究では、平滑筋細胞を収縮型に維持するメカニズムを解明することを目的とし、合成型に形質転換した継代培養平滑筋細胞を再び収縮型へ変換する血管内皮細胞由来の液性因子の検索と同定を試みた。その結果次のような結果が得られた。1)PDGF受容体の発現抑制や平滑筋型アクチンの発現誘導を指標とした場合、動脈組織内で平滑筋細胞の機能調節に重要な働きを持つ細胞外マトリックスや、平滑筋細胞の増殖を抑制すると考えられるヘパリンおよびTGF-βには、合成型細胞を収縮型へ再変換する活性や収縮型細胞の形質を保持する活性は検出されなかった。2)コンフルエント条件下で培養したヒト血管内皮細胞の培養上清中に、培養平滑筋細胞(合成型)の増殖を抑さえ、PDGF受容体の発現抑制や平滑筋型アクチンの発現誘導を強力に促進するサイトカイン様の蛋白性の物質が存在する。3)この物質は各種カラムクロマトグラフィー等により精製・濃縮され、その物質の分子量は約10万である。この物質の高度精製を試ているが、現在までのところ成功しておらず、その物性や生理活性を明らかにするまでには至っていない。4)この物質の産生細胞を解析した結果、検討した10種余の培養細胞ではその産生が認められなかった。また血管内皮細より中膜層の繊維芽細胞が高い産生能を持つことが判明した。平滑筋細胞の収縮型形質を誘導・維持するメカニズムの解明は、動脈硬化等の血管病変の予防や治療に結びつく可能性があり、本研究の発展が期待される。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Homma,Y.and Emori,Y.: "A dual functional signal mediator showing RhoGAP and phospholipase C-d stimulating activities." EMBO J.14. 286-291 (1995)
-
[Publications] Tsutsumi,T.et al.: "A lysophosphoinositide-specific phospholipase C distinct from other phospholipase C families in rat brain." Arch.Biochem.Biophys.317. 331-336 (1995)
-
[Publications] Iiri,T.et al.: "Potentiation of Gi-mediated PLC activation by retinoic acid in HL-60 cells: Possible role of G(g2)." J.Biol.Chem.270. 5901-5908 (1995)
-
[Publications] Takata,M.et al.: "Requirment of phospholipase C-g2 activation in surface IgM-induced B cell apoptosis." J.Exp.Med.182. 907-914 (1995)
-
[Publications] Homma,M.K.et al.: "Growth inhibition by phospholipase C inhibitor peptides of colorectal carcinoma cells derived from familial adenomatous polyposis." Cell Growth and Differentiation. (印刷中). (1996)
-
[Publications] 本間 好: "ホスホリパーゼC" 実験医学. 14. 192-194 (1996)