1995 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギー自立型下水処理システムの構築に関する研究
Project/Area Number |
07835001
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長野 克則 北海道大学, 工学部, 助教授 (80208032)
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Keywords | 下水 / 下水汚泥 / 消化ガス / 下水処理場 / 凍結乾燥 / ヒートポンプ |
Research Abstract |
本研究は,莫大なエネルギー多消費都市施設である下水処理場についてエネルギ自立および熱供給を可能する熱システムの構成を新たな視点から検討を行うものである. 平成7年度は初年度であり,まず文献調査により下水汚泥処理の現状と問題点を把握した.最初に、札幌市における下水処理年報から汚泥発生量とその含水量,有機質量などの質について分析し,利用可能熱量の推定を行うと同時に,下水処理場で消費される電力量,汚泥処理に必要とされる重油消費量の実態を調査した。その結果、下水および汚泥の保有するエネルギー量は,現在の処理に使われているエネルギー量の約80%に上ることが明らかになった.したがって,下水および汚泥から積極的に熱回収を行い,さらには清掃工場などとの複合的な施設を考えればエネルギ自立型の下水処理場の実現可能が高いことを明らかにした。 また,実際に下水の熱回収,および下水汚泥からの熱利用を行っている,利用形態・地域の異なる5つの施設を対象にエネルギー発生量と利用量に関する調査を行った.下水の熱利用に関しては下水をヒートポンプの冷温熱源として用いるものである.現在では大規模な地域熱供給の熱源として利用されており,補助熱源や冷却塔などを必要とせず運転している実績が国内でも数件ある.また,下水汚泥を用いた熱利用には,消化ガス利用と乾燥汚泥の焼却熱の大きく2つに分類される.現在の熱利用を行っている施設では,汚染処理に関してエネルギー的にほぼ自立できる状況であることがわかった.熱回収のためには施設が複雑となり建設コストが大きくかかる欠点も有するが,熱利用により汚泥の脱水性の向上や,減量化につながっている面もある. 文献調査により従来の汚泥の凍結乾燥についての評価を行ったところ,連続処理ができないことに加え,凍結温度が低すぎること,脱水の後行程の問題などにより実例がほとんどないことが浮きぼりにされた.これらの,問題を解決できる方法と装置の開発が必要である. 実験に関しては平成7年度は初年度であることから,結乾燥について従来の問題点を解決できる実験装置を考案し,試作を終えたところである.現在,ヒートポンプの利用を模擬したシャーベット状凍結汚泥の生成と処理後の脱水性の向上の検討,中温度での加熱による真空乾燥促進効果に関する実験について進めているところである。
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