1996 Fiscal Year Annual Research Report
吸啜から咀嚼への機能変換:感覚入力系の免疫組織化学的、微細構造学的発育変化の検討
Project/Area Number |
07838010
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大島 邦子 新潟大学, 歯学部, 助手 (80213693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 洋 新潟大学, 歯学部附属病院, 講師 (70179597)
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Keywords | ルフィニ神経終末 / 歯根膜 / 神経 / 発生 / 微細構造 / PGP9.5 / 咀嚼 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
哺乳動物の、吸啜から咀嚼への変換メカニズムを解明する目的で、咀嚼の神経性制御に重要な歯根膜内機械受容器であるルフィニ神経終末の生後発達過程を免疫組織化学的・微細構造学的に検討した。試料は、生後1,4日(切歯未萌出),7-11日(切歯萌出期),15日(切歯咬合開始期),25日(臼歯咬合開始期),80日(機能咬合期)のWistar系ラットの上顎切歯部を用い、PGP9.5の免疫染色を行った上で、舌側歯根膜を光顕で観察し、その後、通法に従い超薄切片を作成、電子顕微鏡にて観察した。一部の超薄切片には、タンニン酸-ウラン-鉛の三重染色を施し、軸索終末と周囲の膠原線維との関係を観察した。その結果、次のような所見を得た。(1)光顕的にルフィニ神経終末様の形態をもつ終末を認めたのは切歯萌出期だったが、微細構造学的には、機械受容器の形態学的特徴である複数のシュワン鞘に被覆された軸索終末は生後4日にすでに認められた。(2)成熟ルフィニ神経終末では、軸索末端部の微細な原形質突起axonal spineが歯根膜線維の変形を関知するといわれているが、このaxonal spineは切歯萌出期に初めて出現し、その後日齢の増加とともに、数の著しい増加・伸長・複雑化を示した。(3)幼若ルフィニ神経終末では、axonal spineの基部に大小さまざまなvesicleが多数認められたが、切歯咬合開始期以降、漸次その数を減じた。(4)ルフィニ神経終末の軸索末端部には豊富なミトコンドリアが存在するが、これは切歯咬合開始期から数の増加・長大化を示した。(5)axonal spineは、歯根膜線維と直接接触することはなく、その間に基底膜様の層が存在していた。また、この基底膜様構造は切歯咬合開始期頃から明瞭に観察されるようになり、徐々に肥厚・多層化していった。以上のように、ルフィニ神経終末は、切歯萌出期から咬合期にかけて急激な分化を遂げ、その機能に重要と思われる微細構造学的特徴を完成させていくことが明らかとなった。
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[Publications] K.Nakakura-Ohshima: "Postnatal development of periodontal Ruffini endings in rat incisors : An immunoelectron microscopic study using protein gene product 9.5 (PGP 9.5) antibody." The Journal of Comparative Neurology. 362. 551-564 (1995)
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[Publications] 田村裕子: "上顎左側乳切歯癒合歯とその後継永久歯の発育遅延の1症例" 小児歯誌. 33. 903-911 (1995)
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[Publications] 大島邦子: "吸啜から咀嚼運動への移行-形態と機能の関連-" 歯界展望別冊 デンタルオリンピア'95-21世紀の歯科医療-. 210-210 (1996)
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[Publications] はい島桂子: "吸啜運動への口腔感覚による反射性調節" 小児歯誌. 34. 911-923 (1996)
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[Publications] 大島邦子: "歯根膜ルフィニ神経終末の発生-咬むことにより神経終末は成熟する-" ザ・クインテッセンス. (印刷中). (1997)
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[Publications] Y.Taguchi: "Brain and oral functions" Elsevier Science (Ed : T.Morimoto et al.), 647 (1995)
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[Publications] C.Yamamura: "Brain and oral functions" Elsvier Science (Ed : T.Morimoto et al.), 647 (1995)