1995 Fiscal Year Annual Research Report
下顎運動と咀嚼筋血流量との関連が小児の咀嚼機能の発達に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
07838026
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山崎 要一 九州大学, 歯学部, 助手 (30200645)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早崎 治明 九州大学, 歯学部, 助手 (60238095)
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Keywords | 下顎運動 / 咀嚼機能 / 血流量 / 咬合 / 小児 / 咬合接触 / 咬合力 / 筋機能 |
Research Abstract |
測定システムの構築において当初予定よりも小型で高性能なレーザー非接触血流計を入手することができ、当教室所有の下顎運動、咀嚼筋筋電図記録システムに接続してこれらの同時測定可能な新システムを完成した。咀嚼運動中の咀嚼筋血流量の最適測定部位を探索するため、中顔面から下顔面の10カ所の測定では、口角外側頬部が最も良く反応していることがわかった。下顎運動におけるこの他の知見としては、下顎の側方滑走運動中の上下乳臼歯の咬耗面である咬合小面の対向関係を調査するために、前述の下顎運動測定システムと3次元レーザー形状測定装置を組み合わせた高精度な解析システムを構築し、混合歯列初期の被験者を測定したところ、作業側上下第二乳臼歯の機能咬頭の咬合小面の3次元形態は、下顎の側方滑走運動の方向と関連性が強いことが明かとなった。また、混合歯列初期の小児の開口運動における顎関節顆頭の動態を解析したところ、成人での報告では、運動初期は顆頭の回転が中心でその後滑走が起こると言われているが、小児では開口初期から顆頭の滑走と回転がほぼ同じ割合で認められ、小児の顆頭部の可動性が高いことが推察された。さらに、乳歯列期小児と成人の前方滑走運動中の顎関節顆頭部3次元動態について調査したところ、乳歯列期小児は成人と比べ切歯点および顆頭点の矢状面投影角度が有意に小さく下方への動きが少ない運動をしており、下顎の回転要素の強い傾向があった。顆頭部における3回の前方滑走運動軌跡で囲まれる面積が最小になる顆頭点を検出してその面積を比べると、乳歯列期小児は滑走移動距離が少ないにもかかわらず、運動で囲まれる面積は成人よりも大きく、小児の顎関節が成人に比較して可動性に富んでいることがうかがえた。また、下顎運動に関連する事項として呼吸に関する問題があるが、機能的顎矯正装置であるバイオネーターを使用して、過蓋咬合を伴う下顎後退咬合を改善することにより、固有口腔の容積を増加させて舌の位置異常と口呼吸の改善も期待できる。そこでバイオネーターによる治療前後の固有口腔容積の増加を、正常咬合小児の自然成長による固有口腔容積変化と比較したところ、観察期間内の固有口腔容積の増加率は、正常咬合小児では5%程度であったがバイオネーター治療後では20%の増加が認められた。その他に、第一大臼歯の萌出に伴う咬合力と咬合接触面積の推移についても現在調査中である。
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[Publications] 成瀬克子,山崎要一ら: "側方滑走運動中の乳臼歯咬合小面の対向関係に関する研究-3次元解析システムの開発-" 小児歯科学雑誌. 33 (5). 975-984 (1996)
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[Publications] 西嶋憲博,早崎治明,山崎要一ら: "小児の下顎顆頭部三次元動態に関する研究" 小児歯科学雑誌. 33 (5). 985-994 (1996)
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[Publications] 中田稔、早崎治明,西嶋憲博,峰松清仁,山崎要一: "小児の咬合誘導におけるコンピュータ・シミュレーションの活用" ザ・クインテッセンス. 14 (7). 171-178 (1995)
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[Publications] YAMASAKI, Y et al.: "Brain and Oral functions-Oral motor function and disfunction-, Three dimensiond analysis of condylon movement during mondibulor movement in children" Elsevier Lcience, Amsterdam Netherlands, 648 (457-461) (1995)