1995 Fiscal Year Annual Research Report
磁気共鳴映像法(MRI)を用いた、成長、加齢に伴う咀嚼筋群のテクスチャー解析
Project/Area Number |
07838028
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
泉 雅浩 長崎大学, 歯学部, 助手 (40212956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大喜 雅文 長崎大学, 歯学部, 講師 (10160441)
上谷 雅孝 長崎大学, 医学部, 講師 (40176582)
中村 卓 長崎大学, 歯学部, 教授 (30172406)
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Keywords | MRI / 咀嚼筋 / 定量解析 / 加齢 |
Research Abstract |
本研究は、組織分解能に優れ、しかも患者にとって侵襲ない検査法である磁気共鳴映像法(MRI)を用いて成長、発育ならびに加齢に伴う咀嚼筋の質的あるいは量的変化を明らかにすることを目的として、我々独自のテクスチャー解析法を咀嚼筋の定量解析に応用した。 〈方法〉 装置は東芝社製1.5テスラならびに0.5テスラの超伝導MR装置を用いた。対象は健常者ならびに顎関節症状の認められない患者123名で、男性46名、女性77名である。MR検査は、各咀嚼筋に対し水平ならびに垂直に連続断層を行い、得られた画像をレーザーフィルムレコーダーにより512×512画素、サンプリングピッチ100ミクロン、256階調でデジタル化し、画像解析用コンピュータにより、各年代ごとに咬筋および内測翼突筋の量的ならびに質的変化を評価した。評価した画像はT1強調像で、量的評価は筋肉の最大横断面の短径を下顎枝間距離で除した値を用いた。また質的評価は筋肉の最大横断面に長方形の関心領域(ROI)を設定し、ROI内部の信号強度の平均値、標準偏差ならびにフーリエ解析(FFT)による筋肉構造の周波数解析を用いた。 〈効果〉 量的評価については、下顎枝間距離に対する筋肉の短径の割合に男女間で統計的有為差を認めたが、各年齢間には統計的有意差は認められなかった。しかしながら、60才以上の女性の群では59才以下の群に対し減少傾向にあった。 質的評価については、若年者から20才代にかけて男女とも同じ傾向で、10才代の成長期では、20才代と比べROI内の信号強度は低く、SDは逆に高かった。FFTによる周波数解析では、10才代が低周波成分が強く、また方向性の依存が高かった。これは、10才代の症例の方が外筋周膜がT1強調像において明瞭に描出されているためであると考えられた。一方30才以上では男女間で加齢によると思われる変化に差がみられ、男性ではすべての値にほとんど変化がみられないのに対し、女性では30才代頃より内部ROI内の信号強度は高くなり、SDも20才代にくらべ上昇する傾向にあった。この変化は60才以上の症例で顕著であった。これらの違いは、筋肉繊維内への脂肪沈着に男女間で差があるためであると思われた。
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