1995 Fiscal Year Annual Research Report
ラットの咀嚼筋運動ニューロンのアセチルコリン代謝酵素の活性について
Project/Area Number |
07838032
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
河岸 重則 九州歯科大学, 歯学部, 助教授 (20137334)
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Keywords | ラット / 咀嚼筋 / 運動ニューロン / アセチルコリン / エステラーゼ / 代謝 |
Research Abstract |
10週齢のWistar系雄ラットを用い,開口筋の顎二腹筋前腹,閉口筋の咬筋それぞれを支配する運動ニューロンのアセチルコリンエステラーゼ(AChE)活性を定量的に測定した。 AChE活性はニューロン細胞体だけでなくneuropilにも存在するため,酵素の細胞体での分布はそのままでは観測できない。そこで非可逆的酵素阻害剤diisopropyl fluorophosphate,DFPを投与して一旦,既存のAChEを失活させた。その後一定時間生存させ,細胞体内にだけ検出できる量の酵素を新しく合成させて,その活性を測定した。まず両運動ニューロンの同定に用いるべく,ラットの顎二腹筋前腹及び咬筋にそれぞれ蛍光色素nuclear yellow,bisbenzimideを筋注し,支配ニューロンを逆行性に標識した。24時間後DFPを投与し,さらに3時間生存させた後,心灌流固定を施し,脳幹を摘出,凍結連続切片を作製した。すぐに蛍光顕微鏡下にて,ニューロンを同定するとともに顕微鏡写真にとり,次いで切片をAChE反応に供した。反応はacetylthiocholine iodideを基質とし,反応液にはAChE活性のみを検出するためにnon specific cholinesteraseの阻害剤tetraisopropyl-pyrophosphateを加えた。活性の測定は,蛍光色素を含む細胞体について,マルチ測光顕微鏡装置で細胞体内の460nmの吸光度を測定し,AChE活性値とした。また画像解析装置を用いて細胞体の面積を測定した。今回はα運動ニューロンを解析の対象とし,13個の運動核についてAChE活性を測定した。いずれの運動核においても,顎二腹筋前腹運動ニューロンのほうが危険率0.1%で有意に高い値を示し、咬筋運動ニューロンの1.43から1.97倍の活性があった。全測定値をプールして求めた平均値では1.6倍となった。さらに,11個の運動核について細胞体面積と酵素活性との間の相関係数を求めた。顎二腹筋運動ニューロンの2例を除いて,細胞体面積と酵素活性に相関は認められなかった。
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