1996 Fiscal Year Annual Research Report
運動連合野における咀嚼運動調節機構の神経生理学的研究
Project/Area Number |
07838033
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Section | 時限 |
Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
吉野 賢一 九州歯科大学, 歯学部, 助手 (90201029)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 競 日本福祉大学, 情報社会科学部, 教授 (30027479)
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Keywords | 視覚誘導性顎運動課題 / 運動前野 / サル / 単一ニューロン活動 |
Research Abstract |
大脳皮質運動前野の上肢運動における役割について多くの研究が行われているが、顎運動に関して調べた研究はない。本研究では、視覚誘導性顎運動課題をサルに行わせ、運動前野のニューロン活動を記録し、この領野の顎運動制御に対する役割について調べた。 実験動物として2頭のニホンザルを用いた。サルをモンキーチェア-に座らせ、ディスプレイに顎運動の視覚手がかりとなる緑丸と赤丸を提示した。緑丸は開口、赤丸は閉口を指示しており、サルは手がかりに応じて開閉口運動を行った。この時の運動前野のニューロン活動を記録した。 視覚手がかり提示後100-190msの潜時の後、一過性の反応を示す視覚関連ニューロンを記録した。上肢運動遂行中のサルからニューロン活動を記録した研究により、運動前野には多数の視覚関連ニューロンが存在し、視覚情報の認知過程よりも視覚情報を運動命令へと変換する過程に関与することが知られている。顎運動においても同様のことが示唆された。開閉口状態を維持し、次の運動を指示する視覚手がかり指示まで発射頻度を増加し続ける準備関連ニューロンを記録した。様々な方向に腕を伸ばさせる課題をサルに行わせた研究により、準備関連ニューロンは次に行うべき運動の方向に依存して活動を変化させると考えられている。記録した準備関連ニューロンの殆どは開口または閉口状態の一方でのみ発射頻度を増加させており、顎運動においても方向選択性があることが示唆された。運動開始時に同期してニューロン活動を変化させた運動関連ニューロンは一過性型、持続型および一過性-持続型に分類することができた。これらのニューロンは顎運動の発現・遂行、または下顎の位置を維持することに関与していると思われた。 本研究により、この領野が視覚情報の顎運動命令への変換、顎運動の準備、発現、遂行等に関与していることが示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 吉野賢一: "霊長類の社会関係と脳進化" 霊長類研究所年報. 25. 113-113 (1995)
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[Publications] 吉野賢一: "視覚誘導性顎運動課題における運動前野の役割" 霊長類研究所年報. 26. 98-98 (1996)
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[Publications] 吉野賢一: "脳の謎を解く「かむと頭がよくなるってホント?」" 朝日新聞社, 11 (1995)