Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 武 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (50213799)
熊坂 純雄 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (10161697)
川瀬 俊夫 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教授 (30084784)
斎藤 滋 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (80084713)
内村 登 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (80104454)
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Research Abstract |
歯根完成後の永久歯および歯根が2/3以上残存する乳歯の歯根膜組織よりヒト乳歯歯根膜線維芽細胞(HPLF-Y),ヒト永久歯歯根膜線維芽細胞(HPLF)を樹立し,シリコン製の底面を有する6-well culture plateを用いて培養を行った。培養3日目あるいは6日目の両細胞に,Flexercell strain unit(Flexercell Corporation製)を用いて伸展率5%,各10秒間の機械的外力を1分間に3回の割合で24時間加えた。外力負荷の後,conditioned medium(CM)を回収し,CM中のTGF-β_1,およびMCSFをenzyme immunoassayにより定量した。また培養終了後のDNA量を測定し,単位DNA量当たりのTGF-β_1, MCSF量を算出した。その結果,TGF-β_1量はHPLF-Y, HPLFともに培養4日目で高い値を示した。また,control群のTGF-β_1量を比較した場合,HPLFのCM中にはHPLF-Yに比較し,培養4日目において約3倍,培養7日目では約2倍という高い値を示した。機械的伸展力の負荷を加えた場合,CM中のTGF-β_1はHPLFでは培養4日目においてcontrolの約30%の増加,HPLF-Yでは培養7日目において約40%の減少が認められた。一方,CM中のMCSF量はHPLF-Y, HPLFともに培養4日目から培養7日目にかけて増加したが,HPLF-Yの方がHPLFより高く,培養4日目および培養7日目で,それぞれHPLFの約1.3倍と約1.8倍の値を示した。また,外力の負荷によりDNA当たりのMCSF量は,HPLF-Yで22%の減少を示したのに対し,HPLFでは24%の増加が認められた。以上のように,乳歯および永久歯歯根膜由来細胞はサイトカイン産生量に有意な差があり,TGF-β_1はHPLFで,MCSFはHPLFYにおいて高い値を示した。また,両細胞でその産生量に対する機械的外力の効果に明らかな相異が認められた。これらの結果から,歯根膜組織中の細胞が機械的外力に応答し,歯槽骨改造あるいは歯根吸収に関与する因子を産生,分泌することが示唆された。
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