1996 Fiscal Year Annual Research Report
乳歯列の成長発育と咀嚼の関連性に関する基礎的研究-ヒト乳歯歯根膜線維芽細胞の増殖調節因子産生に対する機械的外力の効果について-
Project/Area Number |
07838042
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
木本 茂成 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (90205013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊坂 純雄 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (10161697)
川瀬 俊夫 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (30084784)
斎藤 滋 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (80084713)
内村 登 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (80104454)
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Keywords | ヒト歯根膜 / 培養細胞 / 機械的外力 / サイトカイン |
Research Abstract |
これまでの研究成果から,歯根膜組織由来の培養細胞は形態学的には線維芽細胞であるが,骨芽細胞様の性質を有することが明らかにされている.また,歯根膜組織を構成する細胞が,autocrineあるいはparacrine的に増殖・分化を調節する因子を産生,分泌しており,歯根膜の細胞自身,骨芽細胞,セメント芽細胞の増殖・分化,さらに破骨細胞や破歯細胞の分化を調節する可能性が示唆された.本研究において,我々はヒト乳歯および永久歯由来の培養細胞に周期的伸展力を加え,サイトカイン産生に対する効果について,骨の形成および吸収,さらに歯根吸収に関与すると考えられるTGF-β1とM-CSFの産生に的を絞り検討した.その結果,HPLF-YとHPLFはTGF-β1およびM-CSFを,組織中で生理活性を発現する濃度で培地中への産生しており,両細胞の間で,その産生量に有意な差が認められた。特に,HPLFのconditioned medium中に含まれるTGF-β1のレベルはHPLF-Yの2〜3倍と高く、増殖期の初期において機械的外力の負荷により上昇した。一方、HPLF-Yのconditioned medium中におけるM-CSF量はHPLFの1.3〜1.8倍の値を示した。また,HPLF-YにおけるM-CSFの産生量は,増殖期において機械的外力の負荷により減少したが,HPLFにおいては逆に上昇を示した。以上のように,HPLF-YおよびHPLFのTGF-β1とM-CSFの産生に対する機械的外力の効果は両細胞の間で異なる結果を示した。これらの結果から,歯根膜を構成する細胞が,骨の改造や,歯根吸収に関与する因子を産生,分泌しており,そのレベルは機械的外力に応答して変化することが示唆された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Kawase T.,Saito S.: "Osteoblastic character of fibroblasts derived from human periodontal ligament." Tissue Culture Research Communication. 14. 109-125 (1995)
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[Publications] Nishiyama K,Nozaki N,Kawase T and Saito S.: "Effect of Mechanical Stress on Protein Synthesis in Human Periodontal Ligament Cells." Bull of Kanagawa Dent Col. 23・1. 1-8 (1995)
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[Publications] Mikuni-Takagaki Y.,Kasai Y.,Satoyoshi M.,Suzuki Y.,Kawase T.,and Saito S.: "Matrix mineralization and the differentiation of osteocyte-like cellsin culture." Journal of Bone and Mineral Research. 10. 231-242 (1995)
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[Publications] Satoyoshi M.,Koizumi T.,Teranaka T.,Iwamoto T.,Saito S.and Mikuni-Takagaki Y.: "Extracellular processing of dentin matrix protein in the mineralizing odontoblast culture." Calcified Tissue International. 57. 237-241 (1995)
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[Publications] 大西武,木本茂成,川瀬俊夫: "ヒト乳歯歯根膜由来線維芽細胞の細胞生物学的研究:レチノイン酸による増殖と分化に対する調節" 神奈川歯学. 31・1. 1-18 (1996)
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[Publications] Mikuni-Takagaki Y.,Suzuki Y.,Kawase T.,and Saito S.: "Distinct responses of different populations of bone cells to mechanical stress." Endocrinology. 137. 2028-2035 (1996)
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[Publications] 川瀬俊夫,出口眞二,斎藤滋(下野正基,飯島国好編): "治癒の病理<臨床編>第3巻 歯の移植・再植-歯根膜を生かす-2歯根膜の特性,2-2歯根膜細胞の特性." 医歯薬出版, 219 (1995)