1996 Fiscal Year Annual Research Report
顎関節症発生メカニズムに関する作業仮説の実験動物モデルでの検証
Project/Area Number |
07838046
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Section | 時限 |
Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
平場 勝成 愛知学院大学, 歯学部・生理学講座, 講師 (60175560)
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Keywords | 下顎運動 / 顎関節症 / 関節円板 / ウサギ / 咬合異常 |
Research Abstract |
本研究の、第一の課題は、下顎運動時の関節円板の運動を直接映像データーとして記録する手法をウサギを用いて開発することにあった。ケタミン麻酔下にて関節部を剖出し、上関節腔の上壁に面する側頭骨関節結節を前上方よりエンジンドリルにて削除し、関節円板上面を直接観察可能な状態にして、ビデオカメラにて録画する手法を確立した。下顎運動は、大脳皮質咀嚼野を連続電気刺激して誘発した。刺激部位を選択することで、チョッパータイプの単純な開閉口運動とグラインドタイプの臼摩運動を区別して誘発できる。この、異なる2タイプの運動時の関節円板の動きを比較することにより、臼摩運動を制御する上での関節円板の運動の特徴とそれに関わる筋の活動様式を検討していく事ができる。この目的を達成するためには、映像データーとして取り込まれる関節円板のデーターを筋電図、切歯点並びに関節頭の光センサーを用いた運動データーと時間関係を損なわないで、定量的に解析する方法が必要であり、現在4chビデオ画像処理システムを構築中である。 第二の課題は、臼歯部の咬合関係の異常が、関節円板の運動とそれに関わる筋活動へ与える影響である。我々は、片側の臼歯を削除して、大脳皮質咀嚼野を連続電気刺激して誘発したグラインドタイプの臼摩運動時の関節円板の運動を検討しているが、顕著な変化は急性実験では認められていない。顕著な変化が認められていない理由として、時間的な要因と周囲関節靭帯の働きの2点を考えている。臨床的にも顎関節症は慢性疾患として認識されており、顎関節円板並びに周囲靭帯に肉眼学的な変化を来すには、かなりの時間が必要なのであろう。第二点としての周囲関節靭帯の働きであるが、本実験条件では、上関節腔の上壁に面する側頭骨関節結筋の骨部分のみを除去しており、周囲関節靭帯をほとんど損傷を受けていない。そのため、片側の臼歯の削除により関節部に異常な力が及んだとしても、周囲関節靭帯がその力の影響を受け止めて、急性実験下での短時間では認識できないほどの、わずかな変化しか現われないのではないかと考えている。したがって、上記の仮説を確認する上でも、当初の予定通り、片側の臼歯を削除した慢性動物での検討が必要と思われる。
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