1995 Fiscal Year Annual Research Report
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07851017
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Research Institution | Okazaki Women's Junior College |
Principal Investigator |
寺川 志奈子 岡崎女子短期大学, 初等教育学科, 講師 (30249297)
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Keywords | 絵画 / 美的感受性 / 発達的研究 / 色 / コンピューター / 絵画鑑賞 / 理解過程 / プロトルコ |
Research Abstract |
本研究では、子どもの絵の発達研究においてこれまで着目されてこなかった絵の象徴性の側面に着目し、こどもがいつ頃から、絵の構成要素のなかのどの部分に着目して、絵の象徴性を読みとるようになるのかを明らかにすることを目的として実験を行った。今回は、絵の構成要素のなかでも、特に色の属性を取りあげ、コンピューターによって要因統制した芸術作品を子どもに呈示し、その理解過程及び美的特性への感受性の発達過程をみようとした。同じ芸術作品の色相のみを変化させて呈示したときに、子どもが色の属性に着目して絵の象徴性を読みとろうとするのか、あるいは絵の表現内容に着目して読みとろうとするのかについて、発達的に検討した。 萌芽的研究であることから、対象は幼児に限定せず、幼稚園年長、小学校1年生〜6年生の各年齢4名ずつ計28名に実施した。印象派の画家が描いた人物画と風景画の2種類の内容の絵それぞれについて、オリジナルの色の絵、暖色あるいは寒色に色相を変化させた絵の3種類をコンピューターの画面上に呈示して、「どんな絵かな?」と絵の読みとりを行わせた。さらに、色相の違う3種類の絵の中で好き嫌いを判断させ、その理由を尋ねた。プロトコルを分析した結果、年少児は表現内容に着目し、色相の変化を表現内容が変化したことと一致してとらえる傾向にあるが、4年生頃から、同じ表現内容の絵でも、色相が変化することによって象徴的印象が異なってくることへの感受性の高まりがみられることが指摘された。 さらに、線の質、テクスチャーなど、他の絵画の構成要素に対する感受性の発達についての検討や、タブレットを用いた産出過程の検討を計画中であり、コンピューターを用いた絵画鑑賞教育の可能性を探ることを目指す。
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