1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07854010
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
三原 建弘 理化学研究所, 宇宙放射線研究室, 研究員 (20260200)
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Keywords | マイクロチャンネルプレート / X線偏光測定 |
Research Abstract |
X線の偏光を測定する様々な試みは以前からなされているが、本研究ではマイクロチャンネルプレートを用いた1-10keVのX線の偏光検出を目指した。マイクロチャンネルプレートを使用する利点は、1-10keVのX線に対して、検出効率が悪くはなく、偏光検出能力がトムソン散乱体を用いる方法より良いことがあげられる。検出原理は、X線が物質に光電吸収される際、最初の光電子の飛び出す方向が、X線の偏光(電場ベクトル)方向をほぼ保存していることを利用する。チャンネルプレートの壁のように板状の物質にX線が入射すると、偏光方向が板に垂直な場合には光電子が板から飛び出しやすく、平行な場合は飛びだしにくい。チャンネルプレートでは壁から飛び出した電子のみが増幅されるので、結果的に偏光方向によりX線の検出効率が異なることになる。 本研究では、まずモンテカルロシミュレーションを行ない、検出可能性について試算を行なった。X線が光電吸収され電子が放出される過程には光電子とオージェ電子があり、光電子の方が強く偏光方向を保存している。光電子の検出確率は、偏光方向により振幅33%の変化が、両電子を合わせた検出確率では、振幅21%の変化が期待されることがわかった。それを確かめるべく平行X線を発生できる宇宙科学研究所のX線ビームラインで実験準備を進めた。そこで従来使用されていたマイクロチャンネルプレートを使用する予定であったが、修理が必要であることがわかり、現在オーバーホール中である。偏光X線には、電子がターゲットに衝突する際にでる制動放射を利用する。偏光量の絶対値測定には、すでにキャリブレーションが済んでいるトムソン散乱型比例計数管を使用する。
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Research Products
(1 results)