1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07854019
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
藤本 雅文 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (30261176)
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Keywords | 結晶の平衡形 / 界面張力 / 相関距離 / 対称双二次形式 / 楕円関数 / 転送行列 / モンテカルロシュミレーション / 量子群 |
Research Abstract |
臨界点以下で、ある単一相の中に体積(面積)一定の条件の下、他の相を共存させた時の界面の最も安定な形を平衡形という。平衡形は、界面張力の方位依存性からウルフの作図法を用いて導かれる他、相関距離と界面張力の間の逆比例関係を用いて、相関距離の方位依存性から導出する事もできる。これら方位依存性の計算は二次元可解格子模型の計算において未解決の問題であったが、本研究では、通常の転送行列法にシフトオペレータを導入した新しい方法を提案、方位依存性及び平衡形の厳密計算の処方を完成させる事に成功した。実際平衡形の厳密計算を行った結果、様々な可解模型一律に、ある種の代数曲線が現れる事が示された。ポッツ模型は状態数が2の時にイジング模型と同等になる他、状態数が3以上でも転移点直上で可解模型となる。更に、状態数が5以上では転移は一次転移であり、転移点直上でも平衡形が定義できる。ポッツ模型について、一次転移点直上での平衡形の厳密な解析を行い、平衡形が上述代数曲線になる事が示された。又、状態数が3の場合(二次転移点直上以外での厳密計算はできない)、モンテカルロシュミレーションによる平衡形の決定を行い、上述代数曲線の存在を強く支持する結果を得た。この代数曲線は広い範囲の模型(必ずしも可解模型に限らない)に現れる非常に普遍的なものと考えられる。 これら正方格子上四回対称の解析に引続き本年度は、三角格子、蜂の巣格子、籠目格子上の模型についても解析を行った。六回対称の可解模型(籠目格子八頂点模型、三角/八の巣格子ポッツ模型)、八回対称の可解模型(正方格子八頂点模型の相関距離)の厳密計算よりそれぞれの対称性について普遍的な代数曲線の存在を指摘した(現在投稿中、投稿準備中)。更に、可解模型に付随した一次元スピン系の励起状態の分散関係と上述代数曲線の関係が示された。分散関係の形は(1+1ポアンカレ群のone-parameter変形である)E_q(1,1)の下での不変性を反映したものであり、平衡形に現れる代数曲線は、空間の対称性と密接に関連している事が示唆できる。この点に関して(week universality等の概念もふまえ)更に踏込んだ研究が進行中である。 関連した研究結果として、相関距離と界面張力の間に簡単な逆比例関係が成立つ事が幾つかの模型で厳密に示された;これは、イジング模型で知られていた結果の拡張になる。
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