1995 Fiscal Year Annual Research Report
高分子膜表面における液晶分子配向状態のメモリ効果に関する研究
Project/Area Number |
07855001
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
能勢 敏明 秋田大学, 鉱山学部, 助教授 (00180745)
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Keywords | 液晶 / 配向膜 / 分子配向 / メモリ効果 / ラビングレス / 高分子膜 |
Research Abstract |
液晶表示素子を初めとする全ての液晶素子は何らかの分子配向処理が必要であり、現在は特別な素子を除き高分子膜のラビング処理を用いるのが通例である。これは、大変信頼性の高い分子配向法であるが、ゴミや静電気の発生が大きな問題とされている。そこで本研究では、ラビングレスの分子配向法への応用の可能性を検討する立場から、ラビングを行わない高分子膜において観察されるメモリ効果に注目してその特性を詳しく調べた。 まず、ラビングレスのPVA及びPI膜を用いて磁場配向によるホモジニアスセルを作製し、分子配向の安定性を評価した。その結果、液晶封入直後に極めて不安定である配向状態が、時間と共に安定化する現象が確認された。また、安定化速度は温度と共に早くなり、PI膜では非常に高速に安定化が進行していることがわかった。以上の検討から、不安定な段階で形成した配向状態を温度や配向膜によって安定化制御する配向処理法の可能性が見出された。 このような現象を高分子膜表面と液晶のミクロな相互作用の立場から検討するために、本研究費によって作製した高精度レタデーション測定装置を用いて液晶の相転移後に配向膜表面に残される残留リタデーションの測定を行った。その結果、磁場配向の液晶セルでは表面に吸着された液晶分子の配向秩序はラビング膜に比べて極めて低いと思われ、得られる残留レタデーションが非常に小さいことがわかった。しかし、液晶を封入することによって、有機溶剤による効果と同様な配向膜自体のレタデーションの低下現象も確認され、高分子膜と液晶分子のミクロな相互作用を解明する上で重要な知見が得られた。 メモリ現象の時間変化をレタデーションの観察から直接捕らえられることは難しいが、一方では不均一電界によって生じるディスクリネーションラインの挙動が界面と液晶の相互作用の影響を受けることが明らかとなった。今後このような手法を用いた配向膜界面の評価の可能性が見出された。
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[Publications] 能勢,敏明: "ラビングレス高分子膜表面における液晶分子配向のメモリ効果" 1995 Asian Symposium on Information Displays. 241-246 (1995)
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[Publications] Shin Masuda: "Optical Properties of a Polarization Converting Device Using a Nematic LC Cell" Optical Review. 2. 211-216 (1995)
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[Publications] T.Nose: "Behavior of Disclination Lines Induced by a Nonuniform Electric Field in a NLC" Mol.Cryst.Liq.Cryst.275. 63-74 (1996)