1995 Fiscal Year Annual Research Report
超高速非線形レーザー分光法による固定化酵素の状態解析
Project/Area Number |
07855093
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
川瀬 雅也 香川大学, 教育学部, 助教授 (90224782)
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Keywords | 固定化酵素 / 位相緩和時間 / シンクロトロン放射 / レーザー / 光散乱 |
Research Abstract |
酵素の状態解析法が近年発展している中,実用性に富む固定化酵素の状態解析はまだほとんど進んでいない。そこで本研究では,高分子中の色素分子の状態解析に利用されるフォトンエコー法とホールバーニング法を利用することを目的とした。 酵素やその他の蛋白質が一般的に持つ芳香環の吸収帯を利用できないかと考えた。この実験には安定性がある光源としてシンクロトロン放射光を利用することとした。サンプルとしては,モデル系としてアニリンおよびフェニルアラニンを用い,それぞれをポリビニルアルコール(PVA)にドープしたものをキャストし乾燥して製膜し用いた。実際に用いた波長は芳香環の吸収帯の裾である310nmを用いた。このときの時間分解能は30fsであった。アニリンをドープしたPVA膜を10Kまで冷却し2パルス法で測定したところ,位相緩和時間は181fsであった。この再現性をチェックし,現在,投稿準備中である。この位相緩和時間のホスト依存性を検討すれば固定化の効果を知ることができる。 次に,より蛋白質に近いフェニルアラニンに関しても実験を行った。サンプル調整の際,フェニルアラニン濃度が高くなると製膜の時結晶が析出するため散乱が多くなり,測定に用いることができず,低濃度での測定となり,まだ十分な結果を得ていない。実際に,チトクロームCを用いた場合にも同様の問題が起こり,現在,解決に取り組んでいる。 このようにして,蛋白質を用いると新たに散乱の問題が起こったが,He-Neレーザーを用いた光散乱実験において散乱光強度の時間変化を調べてみたところ,ノイズ以外の何らかの情報が含まれている可能性が見られた。現在,この情報が何かを知るために,ノイズと信号の分離を試みている。また,蛋白質に蛍光プローブを導入したときも蛍光強度の時間変化において同様のことが示唆された。
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