1995 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠・分娩に伴う子宮平滑筋収縮性の変化-特にアクチン側の新しい制御機構の可能性の検討-
Project/Area Number |
07856031
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
斉藤 みの里 東京大学, 農学部, 助手 (70192359)
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Keywords | 子宮筋 / 妊娠 / 収縮 / Cキナーゼ / カルポニン |
Research Abstract |
本研究では、ラットを用い妊娠および非妊娠時で子宮筋の収縮特性がどのように変化しているかを検討した。この結果、高濃度Kや各種受容体刺激に対する収縮の感受性および単位重量当たりの発生張力が妊娠の経過に伴って増大されることが示された。例えば非妊娠筋では血小板活性化因子(PAF)に対する感受性が低かったが、妊娠経過に伴って収縮性が増加し、こうした物質が分娩に関与している可能性が考えられた。さらにCキナーゼ活性化薬のホルボールエステルは子宮筋の収縮を抑制するが、この作用は妊娠筋でより強かった。またCキナーゼ含量も妊娠筋で増加していた。しかしCキナーゼを活性化させると考えられている受容体作動薬ではこのような収縮抑制作用は認められず、Cキナーゼの生理的な役割は今後の検討課題として残された。 次に妊娠による子宮筋の収縮性増加機構について生化学的に検討したところ、ミオシン軽鎖キナーゼ活性、ミオシン軽鎖リン酸化量および脱リン酸化酵素活性には変化が認められなかった。そこで収縮蛋白の量的な変化を検討したところ、妊娠によりミオシン含量は変化しなかったが、アクチンが増加すること、さらにアクチン制御蛋白のカルポニンが減少していることが観察された。近年、平滑筋の収縮制御機構が今まで考えられてきたミオシン側(ミオシン軽鎖のリン酸化)だけでなく、アクチン側にも存在する可能性が示されている。カルポニンはアクチンに結合して収縮を抑制することが知られているので、分娩時の子宮筋の収縮性増加にアクチン側の制御機構が関与している可能性が考えられた。
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