1995 Fiscal Year Annual Research Report
大学生の欝病予防プログラムへ向けたスクリーニング法の開発とその検証
Project/Area Number |
07857027
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
竹内 一夫 群馬大学, 医学部, 講師 (60251089)
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Keywords | 大学生 / 抑うつ / スクリーニング / 質問紙調査 / 診断的面接 |
Research Abstract |
1.過去の調査項目の分析;群馬大学保健管理センターにおいて過去15年間入学時に全学生に実施されてきた健康調査票と,その後の学生の精神保健上の予後に関する情報の分析を行った.後ろ向き調査で精神医学的問題のわかった20名の学生と対照群との間で判別分析を行ったが,入学時年齢と身体愁訴以外は寄与が低く,判別率も70%程度で敏感度は5%と低く,従来の質問票の項目はあまり予測に役立たないことがわかった.そのためTHI(東大式健康調査票)を全て取り入れた質問票を採択した.2.新しい調査票による質問紙調査の実施;平成7年春に,群馬大学全学部の新入生全員を対象として,上記質問紙を配布,回収した.3.信頼性・妥当性の検証;スクリーニング陽性群に対して臨床経験3年以上の精神科医数名により診断学的面接を実施し,障害の有無を判定した.平成7年度新入生の内,面接に応じた者は半数に満たなかったため,平成6年度入学者まで範囲を広げたが,全陽性者145名に対し,面接に応じた者75名(51.7%),要観察ならびに問題ありと判定された者19名(13.1%)であり,多変量解析を含めた統計学的解析に充分な数を得られなかった.ただし,質問紙スクリーニングにおいて抑うつ症状を含めた精神的愁訴尺度得点が高く,授業出席など日常生活に支障が生じていたが,診断的面接後,数回のカウンセリングを経て適応に至った者など,今後の抑うつ防止プログラムの参考となるケースが再三得られた.4.討論と総括;質問紙スクリーニングの精度を上げるためには,より信頼性と妥当性の高い尺度を再構成する必要があり,上記調査を続け,症例数を増やす一方で,診断的面接受診率をあげることが必要である.また,質問紙と面接を組み合わせた2段階スクリーニングは予防プログラムの核となることが再確認された。
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