1995 Fiscal Year Annual Research Report
眼底の細動脈硬化と高齢者の抑うつ状態に関する疫学的研究
Project/Area Number |
07857030
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
井原 一成 昭和大学, 医学部, 助手 (10266083)
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Keywords | 眼底写真 / 細動脈硬化 / 抑うつ状態 / CES-D / 高齢者 / 疫学 / リスクファクター / 因果関係 |
Research Abstract |
研究代表者は、先行研究で眼底の細動脈硬化が抑うつ状態のリスクファクターである可能性を示す成績を得た。両者の因果関係をさらに明らかにするために、因果関係の疫学的クライテリアの一つ「関連の一致性」が成立することを示すことが本研究の目的である。先行研究おこなった山間農村に比べて循環器疾患の疫学像の軽症化が進んだ地域を選び、細動脈硬化と抑うつ状態が関連することを統計学的に示すことのできるよう、対象数を十分確保できる調査フィールドを設定し、そのフィールド特性を検討するための予備調査を実施し、さらにその結果を検討した後、本調査を実施した。そして、そこで得られた情報を解析用にコード化をおこない、データベースを完成した。 調査のフィールドには漁村部及び都市近郊地域の住民の両方の情報が得られる地域を選定した。予備調査では、8月から9月におこなわれた健康診断にあわせて、抑うつ状態の調査だけを実施した。調査員が疫学用の抑うつ尺度Center for Epidemiologic Depression Scale (CES-D) を聞き取る方法でおこない、その結果を基に、調査票の構成を改編し、調査員の聞き取り方法などを決定した。ついで、引き続いて実施されている健診において、抑うつ状態の調査と眼底写真による眼底検査をあわせて実施し本調査とした。調査終了後、眼底検査の結果は全て一人の眼科医が評価者内信頼性に留意し判定し、ScheieのS分類とH分類、KW分類に加えて、狭細、反射、交叉現象の程度を評価項目に設定しコード化をおこなった。 予備的におこなった統計解析で、眼底の細動脈硬化または高血圧性所見のある者で抑うつ状態の割合が多いという結果が認められた。今後、完成したデータベースを用いて、高血圧の治療の有無など他の要因の影響なども考慮しながら、解析をおこなっていく予定である。
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