1995 Fiscal Year Annual Research Report
星状神経節は視床下部に投射しているのか-交感神経と知覚神経の比較から-
Project/Area Number |
07857101
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
柳本 政浩 福井医科大学, 医学部, 助手 (00191164)
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Keywords | 交感神経 / 上頸神経節 / 星状神経節 / 視床下部 / 室傍核 / 電気刺激 |
Research Abstract |
今年度の実験として、最初に下垂体後葉の電気刺激によって逆行性に興奮する視床下部室傍核の単一ニューロンを同定後、右上頸神経節を露出し末梢刺激電極を装着した後、上頸神経節を電気刺激して、室傍核の細胞外電位の記録を施行し、刺激前後のヒストグラム(PSTH)によって解析した。室傍核は発火パターンによってオキトシン細胞とバゾプレッシン細胞に分類した。結果は、約9%の室傍核ニューロンが反応した。オキトシン細胞のうち約7%、バゾプレッシン細胞のうち約13%が反応した。対照として施行した大伏在神経の電気刺激では、オキトシン細胞、バゾプレッシン細胞とも約50%が反応した。純知覚神経である大伏在神経に比べ、ごく一部の室傍核ニューロンのみが上頸神経節より投射を受けていることが示唆された。上頸神経節に対する何らかの刺激が、視床下部-下垂体後葉系に影響を及ぼしている可能性がわずかながらに示唆された。しかし、この結果のみで星状神経節ブロックが視床下部系に影響を及ぼし、自律神経系全体に影響を及ぼす説明とするには、さらなる実験が必要である。室傍核から脳幹の神経核や脊髄側核(交感神経節前細胞)に投射していることが証明されているため、室傍核ばかりでなく、これらの神経核に上頸神経節からの投射がないかの検討も必要と思われる。また電気刺激は非生理学的刺激であり、星状神経節ブロックとは機序も違うため、直接星状神経節ブロックを試みる必要もある。今後は同側の上頸神経節刺激が、対側にも影響を及ぼしていないか、末梢の交感神経節レベルでの記録も行ってみたい。
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