1995 Fiscal Year Annual Research Report
骨芽細胞様細胞に機械的刺激を加えた際のサイトカイン発現様相について
Project/Area Number |
07857151
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
森山 啓司 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (20262206)
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Keywords | 骨芽細胞 / 歯根膜細胞 / 口蓋粘膜細胞 / 機械的刺激 / interleukin-6 |
Research Abstract |
ヒト骨肉腫由来骨芽細胞様細胞MG63を、底面が可動性を有する培養用シャーレを用いて培養し、Flexercell Strain Unitを用いて底面に陰圧を加え、細胞に反復伸展性刺激を加えた。また、対照群としては、底面が可動性を有さないシャーレを用いて培養を行い、cAMP産生量の変化について検討を行ったところ、刺激の有無による有意な差を見出すことはできなかった。そこで、当初の実験計画を変更し、MG63の他に、ヒト歯根膜線維芽細胞(PDLF)、ヒト口蓋粘膜線維芽細胞(PTF)を加えた3種類の細胞をそれぞれコラーゲンゲル中で培養し、ゲルがシャーレに張り付いた状態で培養する群(attatch群)と、ゲルをシャーレから剥がして張力を解放させた状態で培養する群(release群)に分け、骨代謝との関わりが深いサイトカイン、interleukin-6(IL-6)の培養上清中への放出量を、ELISA法を用いて比較検討した。なお、release群におけるゲル収縮量は、PDLF,PTF,MG63の順で大きかった。まず、PDLFのattatch群では、培養開始48時間後に回収した培養上清に比べ、次の48時間、すなわち培養開始48時間から96時間後に回収した培養上清の方が約2倍高い濃度のIL-6を含んでいることが明らかとなった。また、release群では最初の48時間と次の48時間のIL-6放出量に有意な差を認めず、いずれもattatch群の最初の48時間のものと同等レベルであった。一方、PTFのattatch群では、PDLF同様、最初の48時間に比べ、次の48時間の方がIL-6放出量が多かったが、release群の放出量はいずれの時間帯においてもattatch群の10-15%程度と低い値にとどまっていることが分かった。また、MG-63の培養上清中にはIL-6を検出することは出来なかった。以上の結果より、ヒト歯根膜由来線維芽細胞やヒト口蓋粘膜由来線維芽細胞に力学的刺激を加えると、これらの細胞のサイトカイン産生に大きな変化が生じることが明らかとなった。
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