1995 Fiscal Year Annual Research Report
線虫C.elegansにおけるガレクチンの生理機能の解明
Project/Area Number |
07857168
|
Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
荒田 洋一郎 帝京大学, 薬学部, 助手 (90246017)
|
Keywords | ガレクチン / βガラクトシド結合性クレチン / 線虫 / C.elegans / 繰り返し構造 |
Research Abstract |
線虫Caenorhabditis elegansは体長が約1mmの自活性土壌線虫で、発生や分化といった、ガレクチンが関わっているとされる生命現象の遺伝学的解析が詳細に進んでいる非常に優れたモデル生物である。C.elegansの32kDaガレクチンは脊椎動物のプロト型ガレクチンと相同なドメインが2回繰り返した構造をとっているが、組換え蛋白質を用いた実験により、βガラクトシド構造に対する親和性が両レクチンドメンが大きく異なることがわかった。32kDaガレクチンの組換え蛋白質は単量体で存在するが、ウサギ赤血球を凝集させる。両レクチンドメインが異なる糖リガンドを認識することにより、32kDaガレクチンが2価性の架橋蛋白質として機能していると予想された。また、抗血清を用いた免疫組織化学手法により、32kDaガレクチンは成虫のクチクラ層に大量に発現していることがわかった。このガレクチンは成虫のクチクラ層の形成に重要な役割をもち、発生に伴って発現量と発現部位の調節が行われていることが示唆される。さらにC.clegansにおけるガレクチンの生理的なリガンドを単離するため、組換え32kDaガレクチン(N32)を固定化したカラム(N32-Sepharose)を調製した。N32-Sepharoseはアシアロフェツイン、ラミニンを特異的に吸着したので、C.elegansのガレクチンのラクトサミン構造を認識していることが強く示唆された。C.elgansを破砕し、ラクトースでガレクチンを抽出除去後、非抽出画分をTX-100により可溶化し、N32-Sepharoseに特異的に吸着される画分を調べると、少なくとも2種類の蛋白質(分子量が非常に大きなものと、約66kDaのもの)が含まれていた。いずれもN32を用いてレクチンブロッティングで検出され、ラクトース存在下では検出できないことから、ラクトサミン構造をもっている可能性が高い。
|
-
[Publications] 荒田洋一郎: "繰り返し構造をもった線虫32kDaガレクチンの生体内リガンドの探索" 生化学. 67. 731- (1995)
-
[Publications] Yoichiro Arata: "A32kDa galectin composed of two tandemly repeated homologous domains in the evematode caenorhabditis elegans." Glycoconjugate Journal. 12. 547- (1995)
-
[Publications] Yoichiro Arata: "An immunohistochemical study of the 32-kDa galectin (β-galactoside-binding lectin) in the nematode caenorhabditis elegans." Histochemical Journal. 28(印刷中). (1996)