1995 Fiscal Year Annual Research Report
分子識別能力を持つ抗体類似高分子の開発とイムノアッセイ系への応用
Project/Area Number |
07857176
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
森 秀治 岡山大学, 医療技術短期大学部, 助手 (50220009)
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Keywords | モレキュラーインプリンティング / イノムアッセイ / 鋳型分子 |
Research Abstract |
抗体が持っている優れた分子識別能力を巧みに応用した微量測定系は,イムノアッセイとして医学・生物学の領域に広く浸透し,今日のバイオ技術を支える重要な手段となっている。しかしながら,測定系確立の決め手になる抗体の調製法に関しては,今なお,高コストであったり,その出来不出来が多分に確率的であったりする等の多くの問題点を抱えたままである。従って,抗体に匹敵する分子識別能力を持った新素材を開発し,抗体の代替物として用いることは,その応用範囲の広さからみても非常に意義あることと考えられた。本研究では,いくつかの薬物を鋳型物質に見立て,その存在下で高分子反応を行うことによって,薬物に対して特異的結合能を持った高分子ポリマーを作製し,識別能力を持った抗体類似の新素材としての有用性につき検討を行った。その結果,次のような成果を見いだすことができた。 1 測定対象となる薬剤(テオフィリン,環状AMPならびに5´-ブロモデオキシウリジン)を鋳型分子に見立て,メタクリル酸及びジメタクリル酸エチレングリコール存在下でラジカル重合させた。反応後,塊状に生じた高分子重合体をモルタルにて粉状に粉砕し,各種溶媒にて鋳型分子(薬剤)のみを繰り返し抽出除去した。最終的に,分子ふるいをかけ粒径25μmの均一な抗体類似高分子を調製した。 2 ペルオキシターゼで酵素標識した薬剤と無標識の薬剤を含む混合溶液に,抗体類似高分子を添加し,本高分子に対して競合反応を行った。その結果,無標識薬剤の添加濃度に依存して,抗体類似高分子への酵素標識薬剤の結合は低下し,本高分子が薬剤に対してそれぞれ特異的親和性を有していることが判明した。
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