1995 Fiscal Year Annual Research Report
若い両親と児を支援するための地域社会システムの基礎的研究
Project/Area Number |
07857178
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中嶋 有加里 大阪大学, 医学部, 助手 (40252704)
|
Keywords | 育児 / 育児支援 / 直系家族 / 子育ての終わった女性 / 小豆島 |
Research Abstract |
これまでの研究で小豆島では直系家族世帯が多数存続しており、育児支援は主として家族内で行われ、近隣の育児経験者による育児支援を必要とするものは少数であることが明らかになった。さらに他者による育児支援は望ましくないと考える若い夫婦が大多数であることも判明した。 今回の研究では子育ての終わった女性に対する調査を重点的に行い、以下の事項が明らかになった。 (1)育児支援の経験を有する女性は43.3%であった。支援の対象は、自分の娘および息子の嫁を合わせると74.4%を占め、親戚が25.6%とこれに続き、他者に対する支援は5.1%であった(重複回答)。支援に対しては喜んで引き受けた者が87.2%、しかたなく引き受けた者は5.1%であった。 (2)育児支援の経験のない女性は53.3%であった。その理由として、機会がなかった者が89.6%であり、事情により断わった者はいなかった。 (3)他者の育児支援に対しては、賛成40.0%、どちらともいえない54.4%、反対5.6%という意見分布を示した。 自分自身が他者の育児支援に参加する意志があるか否かについては、参加したい17.6%、参加したいが事情により参加できない56.5%、参加したくない18.8%という結果を得た。事情により参加できない者は過半数を占め、その理由としては仕事で忙しい、自分の健康上の理由、老人・病人の世話をしている、自分の孫の世話をしている、など多様であった。参加したくない理由としては、責任がもてないこと、若い夫婦と意見が合わないことが主たるものであった。 小豆島では直系家族が多数存続し家族を中心とした育児支援が機能しており、他者による育児支援システムに対する志向・ニーズは低いが、子育ての終わった女性の4割が育児支援システムに対して賛成意見であり、若い夫婦の中には「働いている人には必要」「支援のための教育を受けた人なら良い」という意見が認められたことから、今後、大都市など家族による支援が得難い地域や共働きの夫婦を対象とした調査研究が必要である。
|