1995 Fiscal Year Annual Research Report
次世代集積化バイオコンピューティングのための酵素スイッチ素子に関する研究
Project/Area Number |
07858029
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
青木 孝文 東北大学, 大学院情報科学研究科所, 助手 (80241529)
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Keywords | バイオコンピュータ / 分子コンピュータ / バイオ情報処理 / 生体情報処理 / バイオ素子 / 分子素子 / 集合論理 |
Research Abstract |
本研究では,無配線コンピューティングのための酵素スイッチ素子に関する基礎実験ならびに性能評価を行った. 1.酵素スイッチ素子は,液層中の特定の分子を「受信電極」で検出し,その結果に応じて「送信電極」上の酵素活性を制御し,特定の基質を対応する速度で生成物に変換する.まず,通常のイオン電極程度のマクロな大きさで,送信電極を実現した.これを実現する系として,グルコースデヒドロゲナーゼ,NAD,ヒドロキノンの系を取り上げ,酵素反応を有る程度電気化学的に制御できることを確認した.さらに,この系が十分な安定性および選択性を有することを実験的に確認した。 2.グルコースオキシターゼの酵素反応系を利用して受信電極を構成し,これを上記1で実現した送信電極とともに用いることにより,電極間での分子情報の直接伝達に成功した.ただし,この実験系の場合,電極と酵素の間の電子伝達を媒介すうために遊離したメディエータを用いるため,多種類の送信電極を用いる場合に信号のクロストークが問題になることが明らかになった.このため遊離したメディエータを使用しない送信電極の実現が,今後の研究課題として重要になること判明した. 3.また,酵素スイッチ素子を微細化した場合の動作を計算機上でシミュレートし,10μm程度に微細化された酵素スイッチ素子の応答時間が100μsec程度であることを明らかにした.さらに,多数の酵素スイッチ素子を集積化したシステムについてシミュレーションを行い,完全並列画像処理などのさまざまな情報処理が可能であることを新たに見い出した.今後,このような酵素スイッチ素子による配線に制限されない並列情報処理機構のモデルを構築することが必要であると考えられる.
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[Publications] M. Hiratsuka: "A model of enzyme transistors" Extended Abstracts of the 5th lnt′ Symp. on Bioelectronic and Molecular Electronic Devices and the 6th lnt′l Conf.on Molecular Electronics and Biocomputing. 79-80 (1995)
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[Publications] 青木孝文: "酵素トランジスタ回路の解析と設計" 電子情報通信学会論文誌A. (掲載決定). (1996)