1995 Fiscal Year Annual Research Report
人工生命による分子進化のモデルと並列シミュレーション
Project/Area Number |
07858047
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松田 秀雄 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (50183950)
|
Keywords | 人工生命 / 遺伝的アルゴリズム / 最尤法 / 分子進化 / 組合せ最適化 |
Research Abstract |
本研究では,人工生命についての研究の一つとして,与えられた遺伝情報をもとに進化の系統を再構成するシステムを開発した.このシステムは以下のような特徴を有している. 1.遺伝子情報はDNA塩基配列またはアミノ酸配列などの文字列情報として与え,最尤推定により進化系統を再構成する. 2.系統間で進化速度を変えて,進化系統を再構成できる. 3.配列数の増加に対して組合せ的に増大する可能な進化系統を探索するため,組合せ最適化問題の代表的な解法の一つである遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm)を適用している. 4.進化系統を遺伝的アルゴリズムで取り扱うときのデータ表現として,従来良く用いられている2進数表現ではなく,グラフ表現をとることにした.たのため,交叉・突然変異のオペレータは,グラフ表現に対して行なえるような独自の方式を開発した. 本システムにより再構成された進化系統と,従来の進化系統樹作成法(平均距離法,近隣結合法,最大節約法など)で作成された系統とを対数尤度で比較した.その結果,本システムは従来手法よりも高い対数尤度を持つ系統を再構成できることがわかり,本システムの有効性が確認された. 今後の課題としては,遺伝的アルゴリズムによる探索の一般的な傾向として収束に非常に時間がかかっているため,選択・交叉・突然変異について別方式の採用も含めたチューニングを行ない,収束性能を向上させることがあげられる.また,遺伝的アルゴリズムは並列処理に向いた手法とされているため,今後,並列計算機の利用による処理時間の大幅な短縮を目指す.
|
-
[Publications] H.Matsuda: "Construction of Phylogenetic Trees from Amino Acid Sequences using a Genetic Algorithm" Proc.of Genome Informatics Workshop VI. 19-28 (1995)
-
[Publications] H.Matsuda: "Protein Phylogenetic Inference using Maximum Likelihood With A Genetic Algorithm" Proc.of Pacific Symposium on Biocomputing. 512-523 (1996)
-
[Publications] 松田秀雄: "遺伝的アルゴリズムによるアミノ酸配列からの分子系統樹の作成" 第8回自律分散システムシンポジウム論文集. 207-212 (1996)