1995 Fiscal Year Annual Research Report
ドーパミン作動性神経細胞の発生・分化・生存維持に対する神経栄養因子の機能
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07858088
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
松下 夏樹 理化学研究所, バイオミメティックコントロール研究センター, 研究員 (40271556)
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Keywords | ドーパミン細胞 / 神経栄養因子 / グリア細胞由来神経栄養因子 / 遺伝子構造 |
Research Abstract |
新生マウスの全脳よりmRNAを調製し、既報のラットGDNF cDNAの配列をもとに合成したプライマーを用いて、RT-PCR法によりマウスのグリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)cDNAを取得した。取得したcDNAより推定されるマウスGDNFのアミノ酸配列をラット及びヒトGDNFのアミノ酸配列と比較したところ、3者間で高い相同性を示した。特にマウスとラットではアミノ酸2残基が異なるだけであった。 次にマウスGDNF cDNAをプローブにしてマウス遺伝子ライブラリーをスクリーニングし、GDNFをコードする領域をすべて含む全長約50kbの遺伝子クローンを取得した。構造解析の結果、マウスGDNF遺伝子は2つのエクソンから成り、イントロンは約18kbであることを明らかにした。更にマウスGDNF遺伝子の転写開始点上流約7kbの全塩基配列を決定した。転写開始点付近にはTATA boxが存在し、これに隣接してSplが結合すると推測されるGC boxが存在した。またマウスGDNF遺伝子の5'上流領域には、転写調節因子APlが結合することで知られるTREコンセンサス配列(TGACTCA)が存在した。 マウス脳では大きさの異なる2種のGDNF mRNAが存在することが認められ、小さなタイプのmRNAは、大きなタイプのmRNAのうち第1エクソン内の78塩基が欠失した形で存在した。これはスプライシングの5'donor siteが2カ所存在するためスプライシングの違いによって2つのタイプが存在するものと推測された。またRT-PCRによってGDNF mRNAは少なくともマウス胎生期85日目には発現していることが認められた。一方、ラットグリオーマ由来細胞株C6細胞においてGDNF遺伝子発現がTPA処理によって誘導されることが観察された。 GDNF欠損マウス作製のため、GDNF遺伝子内にネオマイシン耐性構造遺伝子を挿入したターゲティングベクターを構築し、これをES細胞に導入して相同組み換え細胞を選択した。現在キメラマウスを作製中である。
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