1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07858098
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩坂 正和 東京大学, 医学部(医), 助手 (90243922)
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Keywords | 血栓線維素溶解 / 強磁場 / 勾配磁場 / フィブリン / プラスミン / 反磁性物質 / 非侵襲的血栓溶解法 / 磁気泳動現象 |
Research Abstract |
本研究では、血栓を構成するの主要な成分である血栓線維素(フィブリン)が溶解する現象に関して強磁場がどの様な作用を及ぼすかについて調べ、以下のような成果を得た。 まず、血栓溶解過程に対する勾配磁場の影響の有無について実験的考察を行った。磁場を与えない状態で凝固させたフィブリン・ゲルにプラスミンを添加し、5〜8Tおよび50T/mの勾配磁場でフィブリン溶解実験を行った。フィブリン平板法およびフィブリン・カラム法を用いた測定より、磁場と磁場勾配の積が最大370 T^2/mの勾配磁場においてフィブリン溶解反応を観測した場合、フィブリン溶解量が増加することを見い出した。強磁場を用いて体外から反磁性磁気力を作用させることで、非侵襲的な血栓溶解制御を行う手法について、定性的な考察を行うことができた。 さらに、巨大高分子であるフィブリン重合体の磁気泳動現象、すなわち、勾配磁場空間におけるフィブリンの濃度分布変化を観測した。磁場と磁場勾配の積が最大370 T^2/mの高勾配磁場中において分子量約34万D(ダルトン)のフィブリン単量体が重合する場合、約50%の濃度変化を観測した。フィブリン重合体が磁気力による磁気泳動を行った結果、フィブリンの濃度変化が生じたものであり、この磁気泳動現象が溶媒であると水と溶質であるフィブリンの体積磁化率の差に起因することを明らかにした。5〜8Tの磁場空間において熱エネルギーに匹敵する磁気エネルギーを持つフィブリン重合体は57個から150個のフィブリン単量体が重合したものであることを算出した。これらの考察をもとに高分子物質の新しい磁気泳動法の可能性を提案した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] M. Iwasaka, S. Ueno, H. Tsuda: "Fibrinolytic Process in Static Magnetic Fields" Proc. of the 17th IEEE Engineers in Medicine and Biology Society. 17. 1737-1738 (1995)
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[Publications] S. Ueno, M. Iwasaka, G. Furukawa: "Dynamic Behavior of Dissolved Oxygen under Magnetic Fields" IEEE Transactions on Magnetics. 31-6. 4259-4261 (1995)
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[Publications] M. Iwasaka, S. Ueno, H. Tsuda: "Measurement of Clottability of Fibrin Polymers using Magnetic Orientation" Journal of Applied Physics. 79-8 (in press). (1996)
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[Publications] 岩坂正和,上野照剛,津田博子: "フィブリンの磁気泳動と反磁性特性" 日本応用磁気学会誌. 19-2. 601-604 (1995)
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[Publications] 岩坂正和,上野照剛,津田博子: "血栓線維素溶解系への磁場効果" 電気学会論文誌C. 116-2. 163-169 (1996)
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[Publications] 岩坂正和,上野照剛,津田博子: "強磁場におけるプラスミン活性変化" 日本応用磁気学会誌. 19-2. 605-608 (1995)