2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07F07056
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐藤 治 Kyushu University, 先導物質化学研究所, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
XU Haitao 九州大学, 先導物質化学研究所, 外国人特別研究員
|
Keywords | 光応答 / 配位高分子 / 磁石 / 金属錯体 |
Research Abstract |
近年、熱や光、圧力等の外部刺激により磁気特性、電気伝導性、色などの様々な物性の変化を自由自在にスイッチングできる新しい物質や新しい技術の開発を目指した研究が盛んに行われている。我々の研究室では、三次元CN架橋構造を有するプルシアンブルーとその類似体に着目して研究を行ない、これまでにHigh-Tc分子磁性体、光応答性分子磁性体の開発に成功し報告してきた。本研究では、光応答性三核モリブデン銅錯体を合成しその物性を詳細に検討した。合成した三核モリブデン銅錯体(MoCu_2錯体)の磁化率を測定したところ、原子価異性物質、スピン転移物質と異なり温度変化による相転移を示さなかった。磁化の値から銅がS=1/2、モリブデンがS=0であることが示唆された。次にこの物質の光応答性について検討した。吸収スペクトルの測定により金属-金属電荷移動バンドが紫外領域に存在することがわかった。そこで、5Kにおいて波長紫外光を照射したところXmT値の上昇が見られた。このことは、金属-金属間電子移動(Cu^<II>-Mo<IV>→Co^I-Mo^V)が光により誘起されたことを示唆している。すなわち、光照射前はCu^<II>上のスピンはS=0のMo^<IV>により架橋されており、磁気的相互作用が弱い。一方、光照射後はCu^IのスピンとMo^V上スピンがCNを介して直接相互作用しており強い強磁性的相互作用が働く。その結果磁化の増大が観測されたものと考えられる。また、準安定状態は室温付近まで温度を上げると最安定状態に緩和することが分かった。この変化は繰り返し観測でき、可逆であった。今回開発した物質は将来の高密度記録材料への応用が期待される。
|