2007 Fiscal Year Annual Research Report
地中水の電気・化学的環境が地盤特性の長期的変性に及ぼす影響の研究
Project/Area Number |
07F07115
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
東畑 郁生 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BORISOVICH Gratchev Ivan 東京大学, 大学院・工学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 粘土 / 地盤汚染 / 圧密 / 三軸せん断 / 酸性環境 / 海水面上昇 / 電解質流体 / 地盤沈下 |
Research Abstract |
地盤への電解質ないしは化学的流体の侵入、浸透は、単なる環境汚染というだけではなく、土の力学的性質にも影響を及ぼし、われわれの社会を構成する諸構造物の基礎の不安定を招くことが危惧される。これは、地中に不法投棄された廃液、産業廃棄物処分場から漏出した液体だけでなく、全地球的な海水面上昇によって沖積軟弱粘土地盤中へ浸透する電解質の塩水(海水)についても、危惧されることである。このような視点から本研究では、土の試験体に種々の流体を浸透させて、その性質の変化を実験的に計測している。初年度に使用した土は、東京下町に堆積する有楽町粘土である。 実験に供する試験体を準備するため、固めた粘土に種々の流体を浸透させる容器を試作した。これは試験体の一方から圧力を加えて酸性ないしは電解質溶液を浸透させるものである。こうして形成した試験体を使い、圧密地盤沈下とせん断強度に関する実験を行った。 まず地盤沈下特性に着目して、ph3と4の酸性流体(硫酸)や塩水を粘土に浸透させたのち圧縮して、沈下特性を計測した。それによると、酸性が高まるほど圧縮されにくくなった。一方、電解質溶液を浸透させた場合(海水面の上昇を想定)には、圧縮特性にはほとんど差異が見られず、塩水浸入による地盤沈下の発生の危惧は、無視してよいと思われる。 またせん断に対する酸性流体の影響を調べるための実験を開始した。すでに2例の実験結果を得たが、総括的な考察をできる状態には至っていない。 今後は川崎市、大阪湾、有明海沿岸などから化学的活性の高い粘土を収集し、同様の実験を継続する予定である。さらに、昨年発生した新潟県申越沖地震に際して斜面崩壊が起こったため、現場で崩壊土砂を採取して、その力学的実験と地震荷重下での強度を推定している。
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Research Products
(3 results)