2007 Fiscal Year Annual Research Report
前炎症性サイトカインによる癌浸潤転移の活性化とFAKシグナル
Project/Area Number |
07F07199
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
浜口 道成 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MON Naing Naing 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | FAK / Srcキナーゼ / シグナル伝達系 / IL-1β / SHP-2 / 浸潤転移 |
Research Abstract |
IL-1Rは、TNF-αと共に、代表的な炎症性サイトカインの1種である。我々は、TNF-αの研究成果に基づき、IL-1βが癌の浸潤転移に重要な役割を担うのではないかと仮説するに至った。そこで予備実験を行ったところ、乳癌細胞株のMCF-7はIL-1β依存性にMMP-9を産生する事、またIL-1Rは繊維芽細胞でもMMP-9産生を活性化するが、その活性化にはFAKを必要とする事が明らかになった。この結果に基づき、乳癌細胞を初めとする人癌細胞の浸潤転移におけるIL-1βシグナルの役割を明らかにすると共に、そのシグナル伝達系におけるFAKの役割を明らかにする。本年は、乳癌細胞等の人癌細胞を用いて、IL-1β刺激依存性にMMP-9産生が活性化されるかどうかを検証した。その結果、乳癌細胞がIL-1β刺激依存に浸潤をすること、その浸潤機転にFAKが関与することを示唆する結果をえた。この時、IL-1β刺激依存性にMMP-9産生が活性化され、浸潤に重要な役割を担うことが明らかになった。更に、FAKと共にIL-1β刺激依存的に活性化されるシグナル伝達因子としてSHP-2を同定した。SHP-2欠損細胞においてIL-1β刺激依存性にMMP-9産生が認められないことも確認できた。さらに、Srcファミリーキナーゼが共通して持つCCモチーフ(我々が同定、命名、システイン残基に富むモチーフ)がFAKにも存在することに注目して実験を行い、SrcファミリーキナーゼYes、Lynと比較検討した結果、Src、Yes、Lyn同様FAKのキナーゼ活性制御にも、CCモチーフが重要な役割を担うことが明らかになった。
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